翻刻
たき川
ひめより
おれいとして
こま〳〵との
やうすを
きゝいかばかり
此ほうを
おうらみ
なんしても
ごもつとも
なれども
いかになかれの
身にても
めんぼくも
なし
ふとなれ
そめし
より
きんぎんにて
たいせつに
せしといふ
でもなし
たとへ
こいには
いのちも
すつる
ものなれど
おくさまへは
ぎりたゝず
けいせいは
人でなし
いづれも
おなし
こゝろかと
おさげすみ
なんしては
おなじ
ながれの
かほゝも
よごし
て
いゝわけ
なく
いつそもふ
どふしんしやふのふ
ばからい
しいと
おもふ
【台詞】
滝川さんの
きやふだい
しゆか
の
たび〳〵
御出
あそばし
さぞ
御せわに
ござり
ませふ
現代語訳
滝川は姫よりお礼として、こま々々との様子を聞き、「いかばかりこの方をお恨みなさっても、ごもっともなれども、いかに流れの身にても面目もなし。ふと馴れ染めしより、金銀にて大切にせしというでもなし。たとえ恋には命も捨てるものなれど、奥様へは義理立たず。遊女は人でなし。いずれも同じ心かと、お蔑みなさっては、同じ流れの顔をも汚して、言い訳なく、いっそ仏道修行の身となるばかりがよいと思う」
【台詞】
「滝川さんの兄弟衆か。度々御出遊ばし、さぞご世話にございましょう」