翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

御代参牛時詣 / 市場通笑作 - 翻刻

御代参牛時詣 / 市場通笑作 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

わかとのは 御ほふこふを たいせつに つとめ ごけらいの うち にも おきにいりと いふもなし みな〳〵しごく つとめよく おすきといふ 事もなければ とりいる事も なしあるやつ なれどおそばの うちにねいじん ものにてばんばの 忠太がおいに ばんばの忠二といふものあり おりを見やわせごむほんをすゝめ                申 御せんは御かくもんやふげいの ごけいこばかりあそばしてはきつう ごこんのどkて御座りあす ちつと ごふ?う?ふの ために おしのびで おいで なさ  るが よろ しう ござり    ます なんぼ 御ほふ こうが 御 あいしでも 御びやうき     でも でましてはと わたくし どもはきつくろふに なりますとしんじつの よふにこじつける

現代語訳

若殿は御奉公を大切に努め、御家来の内にもお気に入りという者もなく、皆々至極勤めよく、お好きということもなければ、取り入ることもない。ある奴だけれど、お側の内に根深き者にて、番場の忠太が甥に番場の忠二という者あり。機会を見ては悪事を勧め申し、 「御前は御学問や武芸の御稽古ばかりなさっていてはきっと御心がお疲れでございます。少し 御夫婦のために、お忍びでお出でなさるがよろしゅうございます。どんなに御奉公が御愛でも、御病気でもお出ましてはと、私どもはきっと困ることになりますと、真実のように言いつける。

英語訳

The young lord devoted himself earnestly to his service, and among his retainers there was no particular favorite. All served most diligently, with no special preferences or attempts to curry favor. However, there was one fellow among those close to him, a deeply rooted schemer named Bamba no Chūji, nephew of Bamba no Chūta. Whenever he saw an opportunity, he would encourage misconduct, saying: "My lord, if you only engage in scholarly study and martial arts practice, your spirit will surely become weary. A little for the sake of your marriage, you should go out incognito. No matter how much you love your duties, if you fall ill from overwork, we retainers will surely be in great trouble"—thus he would persuade him as if speaking the truth.