翻刻!地震・災害史料

コレクション: 国文研地震

平安万歳楽 - 翻刻

平安万歳楽 - ページ 11

ページ: 11

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【右丁】 そな土蔵のずり落しは数多あり家 居(ゐ) たわみて往来御用心と張札所々に先ゆれ 十四日は夜半比大分つよく七ツ時に又トロ〳〵と 鳴動すこの日は二季【盆前と年末の決算期。ぼんくれ。】の極(きわ)なるに其 掛乞(かけとり)の いつよりも物 淋(さび)しきはいかにや十五日になり て少し雨降出し中へも又ドロ〳〵と時々 鳴 止(やま)ず最早(もはや)地震なれて仇(あた)にも交(まじ)れど 心はさなく 祈(いの)りけん十六日も打つゞき 【左丁】 雨ふれば過(すき)し大変より屋根瓦(やねかわら)ずりおり 番匠(だいく)瓦 師(し) 左官(さくわん) 手伝(てつたい)【傳】等も中々 数(す)ケ(か)所(しよ)のしつ らひゆへ手廻(てまわ)り兼(かね)所々雨もりて難義(なんぎ) 之 方(かた)多くみゆる又土蔵の傍(そば)に建(たつ)小 家(いへ)は 土のずり落ん事をも恐(おそ)れて案(あん)じ過(すご) して夜な〳〵他所へ泊(とま)りに行人も多(おゝ)く あるよし十七日いまだ雨つよく降八ツ時 少々 晴間(はれま)ありて日暮過西に稲光(いなびか)り少々

現代語訳

【右丁】 そんな土蔵の土の滑り落ちは数多くあり、家屋が 歪んで「往来御用心」と張り札が所々に先だって貼られた。 十四日は夜半頃大分強く、七つ時に又ドロドロと 鳴動する。この日は盆暮れの決算時期の最中なのに、その掛け取りが いつもより物寂しいのはどういうことだろうか。十五日になっ て少し雨が降り出し、その最中にも又ドロドロと時々 鳴り止まず、もはや地震に慣れて他人事のようにも思えるけれど 心はそうではなく祈ったことだろう。十六日も続き、 【左丁】 雨が降ると、過ぎた大変事により屋根瓦がずり落ち、 大工、瓦師、左官、手伝い等も中々数か所の修 理のため手が回りかね、所々雨漏りして困った 状況の方が多く見える。また土蔵の傍に建つ小家は 土の滑り落ちることをも恐れて心配し過ぎ て夜毎に他所へ泊まりに行く人も多く あるとのこと。十七日、まだ雨強く降り、八つ時に 少々晴れ間があって日暮れ過ぎ西に稲光が少々