翻刻
亜弗利加洲の内地は委く山にして許多
の山鎖《割書:ベルグケーテン|》相接す山鎖相接する間に
谷《割書:ハルレエイン|》ありと雖【?】大低不毛の砂地なり北
内地未た人跡通せす故に其詳なる事
得て記すへからす其大略を左に挙く
(シュエス)の(ランドエングテ)より山鎖起り阨入
多(ニュビー)(アビシニー)を過き東方諸山に
接す又高山陸続して西方(タグレイン)
崎に至る爰【?】に於て亜墨利加洲の山鎖
海中を伝りて此と相接す又北方の
山鎖は(バルバリ)を経て(カナリ)又(アソリ)
諸島に由て(テルレ・ネ・ウフ)の(バンカ)に接す
南方は(リュバタ)と名くる山鎖連綿して
喜望峰に至る
亜墨利加洲中最高は南極緯度二
度経度二百六十六度にあり此に世界并
第一の高山(シムブラソ)と云高さ海水を距
る事凡二万一千尺なり此高山と他の山と
の間谷《割書:ハレイエン|》あり其高さ猶海水を去る事
八千尺なり(コルヂルレラ・デ・ロス・アンデス)と名る所
現代語訳
アフリカ洲の内地は多くが山であって、多数の山脈が相接している。山脈が相接する間に谷があるとはいえ、大抵は不毛の砂地である。北の内地はまだ人跡が通じていないので、その詳しいことを記すことができない。その大略を左に挙げる。
スエズの地峡より山脈が起こり、エジプトを通りヌビア、アビシニアを過ぎて東方の諸山に接する。また高山が陸続して西方タンジール岬に至る。ここにおいてアメリカ洲の山脈が海中を伝ってこれと相接する。また北方の山脈はバルバリ(北アフリカ)を経てカナリア、またアゾレス諸島によってニューファンドランドの岸に接する。
南方はルバタと名付ける山脈が連綿として喜望峰に至る。
アメリカ洲中最高は南緯二度、経度二百六十六度にあり、ここに世界第一の高山チンボラソという。高さは海水を距ること凡そ二万一千尺である。この高山と他の山との間に谷があり、その高さはなお海水を去ること八千尺である。コルディレラ・デ・ロス・アンデスと名付ける所である。