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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百二十四號 洪水地震被害録(上) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百二十四號 洪水地震被害録(上) - ページ 29

ページ: 29

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【右側上段】 するに至り其の他僅かに全潰(ぜんくわい)を免れたるも檐傾き柱折れ住居に 堪(た)へずして皆地上(みなちじよう)に板を敷きて座臥するに至る其惨状筆紙(そのさんじようひつし)に尽 されず当地の被害(ひがい)は左の如し  死亡男三名女八名〇全潰家屋百五十九戸〇仝寺社三棟〇負傷男十名女十二名〇  仝土蔵一棟〇半潰家屋七十七戸〇仝寺社ニ棟〇大破家屋二百六十一戸〇仝土蔵  三十二棟〇仝寺六棟〇仝学校ニ棟〇屍牛十頭 村役場巡査駐在所両小学校郵便局は大傷害(だいしようがい)を免れたり小字石神 の善行寺(ぜんげうじ)及び大字本町の専光寺(せんくわうじ)野荒町の神明社(しんめいしや)は壊倒したり 〇はかなき最後(さいご) 同村大字野荒町の山田長吉長女リツ(三十五 年)同人孫(どうにんまご)スギ(六年)にしてスワ地震(じしん)と云ふや遽てゝリツはス ギを抱き戸外(こぐわい)に逃け出てんとするとき建具(たてぐ)は飛び壁(かべ)は壊れ室内 暗憺【澹の誤りか】として途方(とはう)に迷ひしか遂に落(お)ち重りたる梁の下に推潰(おしつぶ)され 小供諸共(こどもゝろとも)はかなき最後を遂(と)けたり 〇父子枕(をやこまくら)を並へて圧死(あつし)す 字石神の山田養吉 (三十二年)及び父(ちゝ) 市右エ門 (七十二年)の両人は強震(きようしん)の為め瞬間に家屋(かをく)壊れ係りた れば養吉は外(そと)より駈来り重要(じうよう)の物計りも取り出さんと思ひ気強(きつよ) くも震動中(しんどうちう)屋内に入りたるに父市右エ門 が老体(らうたい)のことゝて戸外 にも出かね奥(おく)まりたる所にありて圧死(あつし)せんとする有様(ありさま)なれば先 づ之を救(すく)はんとて進み行く折柄家屋(をりからかをく)は全く崩壊し父子(をやこ)とも枕を 並へて無惨の最後(さいご)を遂けたり 〇圧死(あつし)と火傷 又字米の口高橋直吉兄藤太郎 (四十九年)の圧死(あつし) 及び藤五郎 (二十一年)の負傷(ふしよう)は藤太郎は炉頭(ろとう)に在りて火を消さ んとして直(たゝ)ちに推倒(おしたを)され圧死し藤五郎は戸外に逃出(にげい)てんとす る際梁下に右の足を挟(はさ)まれ負傷したり 〇田圃(たんぼ)の震害(しんがい) 七十九町四反九畝歩にして作物(さくもつ)多くは顚覆(てんぷく)し泥 土を被りたり      ●金沢東根村 【右側下段】 本村は只た破壊(はくわい)に止まれり其他(そのた)土地(とち)亀裂(きれつ)田地(でんち)の損害は何処も免 かれざりき 〇川原(かわはら)に島顕(しまあらは)る 本村に入る途中(とちう)丸小川(まるこかわ)の沿岸甚たしく崩壊(ほうくわい)し 尤も奇なるは川原(かはら)に高さ七八尺の島(しま)の如きもの崛起したること なり 〇厠田中に飛ふ 字湯の沢に建設(けんせつ)しある厠は震動(しんどう)二三反上下せ しか最後(さいご)に拾数間 隔(へだ)たりたる処に飛(とは)されたり亦た以て其(その)激烈(げきれつ)を 知るべし 〇不思議(ふしき)に助る 本村(ほんそん)高橋長左エ門の母(はゝ)(七十余年)は孫(まご)を脊負 ひ逃け去らんとしたるに家屋崩(かをくゝづ)れて棟木(むなぎ)にて胸を打たれ助(たす)から ずと思ひ孫(まご)に向て迚(とて)も助からぬと云ひ聞(き)かせたるに不思議(ふしぎ)にも 二回の震動(しんどう)と共に棟木は刎返り為めに助命(じよめい)したりとは試【誠の誤りか】に天幸 と云ふべし      ●金沢西根村 本村は戸数三百九十三 戸(こ)人口(じんこう)二千八百七十人あり全潰(ぜんくわい)百三十五 戸半潰七十戸 大破(たいは)百十戸小破七十余戸なり圧死者(あつしゝや)は七人 負傷者(ふしようしや) 十余人に及べり当日(たうじつ)の状況を聞くに朝来(てうらい)より空模様穏ならず午 前より震動(しんどう)数回(すうくわい)に及び午后五時十分頃俄然南方より数百の堤防(ていばう) 一時に潰え数千の山岳(さんかい)一時に崩(くづ)れん計りの勢ひにて猛烈(もうれつ)なる震(しん) 動(どう)襲(おそ)ひ来り見るまに家屋は倒れ或は傾(かたむ)き土蔵は壁を落され石は 飛び木は折(を)れ忽(たちま)ちにして修羅場と化し逃路(どうろ)を失ひ親(をや)は子(こ)を呼び 子は親を尋ね悲鳴(ひめい)の声天地に響(ひゝ)き震後家なく衣なく食(しよく)するに米 なく其惨状名状すべからず      ●生保内村 本村は戸数(こすう)四百三十戸 人口(じんこう)一千八百三十六人あり当村(たうそん)は死亡十 一人を生じ負傷(ふしよう)二十余名あり家屋(かをく)其他(そのた)の損害左の如し  家屋全潰九十五戸〇家屋半潰二十七戸〇小屋破壊卅五棟〇土蔵全壊十一棟〇土蔵 【左側】 仙北郡刈和野震災後の惨状【上部に横書き】 同村民難を途上に避るの図【下部に横書き】