翻刻
【左側上段】
半潰四十五棟〇小屋全壊十六棟〇小屋半潰八棟
〇土地亀裂(とちきれつ) 百二三十ケ所あり家屋(かをく)は何れも柱折れ壁落(かべお)ちたり
〇姉妹(しまい)相抱いて死す 死亡数(しぼうすう)ある中にも某氏の娘(むすめ)十三才の小女
と二才の小女(せうじよ)と逃け後れ二人 相抱(あいふゝ)いて圧死(あつし)し居りたりと
〇土中(どちう)に葬らる 本村の大野某といふもの近傍(きんぼう)の山に茸狩りに
行きたるに俄 然(ぜん)震動(しんどう)の為め下山の暇(ひま)なく狼狽(らうばい)する中後方の山崩(やまくづ)
れ同人は其下に圧せられ無惨(むざん)の死を遂けしと云ふ
●飯詰村
本村は戸数三百二十三戸 人口(じんこう)二千三百七十二人あり全潰(ぜんくわい)二百四
十一戸 半潰(はんくわい)二十九戸即死十一名 重傷(じうしよう)十名其他負傷七十六名牛
馬の即死二十 頭(とう)其他道路の决損田地の被害等(ひがいとう)は数ふるに遑(いとま)あら
ず
●石塔村
本村も当日(たうじつ)農夫等(のうふら)の強震に遭ふて惨状(さんじやう)を遂けたるもの少なから
す
〇七名の農夫田中に埋む 一 大(だい)激震(げきしん)の起るや農夫等水田を出(い)て
道路(どうろ)に奔り逃けんと焦立(いらた)つれども偶(たまた)ま一揺(ひとゆり)強く震(ふる)ひたる波動に
卒然(そつぜん)地下(ちか)に捲き込まれ生きながら田中に埋められ無惨(むざん)の死を遂
げたるもの七名ありと
●土川村
本村は戸数(こすう)三百六十三戸 人口(じんこう)二千三百三十四名あり当地(とうち)の被害
は多少免れず土地(とち)の亀裂又は陥落(かんらく)せる箇所あり山腹の崩壊(ほうくわい)又数
ケ所あり土蔵の壁落ち或は亀裂を生したるもの三十棟家屋大破
数戸濁水 所々(しよ〳〵)に噴出したるも大害(たいがい)なし
●平鹿郡
●横手町
横手町は戸数(こすう)二千四百〇七戸人口一万千四百〇八人あり平鹿郡
【左側下段】
内の大都会(だいとくわい)なり災害は聞きしよりも少なく潰家(つぶれや)の最も多きは鍛
冶町にして七日町の北端(ほくたん)及ひ山内路等とす震動 頻々(ひん〳〵)且つ時にド
ーン〳〵の鳴響(めいきやう)を聞き人心恟々街上の光景何となく凄ましく羽
黒町より下島崎に至るまで道路(だうろ)一起一伏一高一低 波濤(はたう)の如く山
嶽の累々(るい〳〵)たるが如し此の地の被害左の如し
〇家屋 全潰三十戸 半潰六十三戸 破損百九十九戸
〇土蔵 仝 二十四 仝 五十二棟 仝四百三十九
〇小屋 仝 三十四 仝 十三棟
〇死亡 男一人
〇負傷 男五人 女十人 外に馬一頭死す
●角間川村
本村は戸数五百九十一戸人口三千五百七十三人あり管区内(くわんくない)の重
なる被害は左の如し
〇家屋 全潰百五十 半潰八十五 大破二百二十四 小破千百五十八
〇土蔵 全潰大破九十二 半潰小破 六十七 〇死亡 三人
其他負傷四人
●増田町
増田町は戸数七百八十一戸人口四千五百七十七人あり被害は大
ならず全潰 家屋(かおく)は五十一戸半潰百三十三戸破損二百七十四土蔵
其他(そのた)全潰三十二半潰四十七 破損(はそん)二百十九負傷一名死亡一名あり
●浅舞村
本村は戸数八百二十一戸人口五千二百二十八人あり最も重(おも)なる
被害は建家(たてや)潰倒五十圧死一名負傷五名 附近地(ふきんち)通算建家潰倒百九
戸 其他(そのた)土蔵の破壊家屋の半潰百余戸なり
●醍醐村
醍醐村は家屋潰倒十七戸土蔵其他 建物(たてもの)六十五なり其外 多少(たせう)の被
害あり
●十文字村
本村は家屋 潰倒(くわいたう)四戸なり