翻刻
【右側上段】
●沼舘村
本村の被害は潰家土蔵破損 石塔(せきたふ)倒れ土地に亀裂を生せしのみ
●雄勝郡
●湯沢町
本村は戸数一千六百十九戸人口七千百四十七人震災の当日即ち
午後五時二十五分頃 爆然(ばくぜん)たる一大響を聞くと同時に強震(きやうしん)あり屋
根石を飛(とば)し家屋を倒し土蔵を崩(くづ)す人々或は東に或は西に馳せ戸
板を路上に布(し)きて坐し悲鳴(ひめい)の声四方に聞えたり其被害は負傷(ふしやう)僅
かに五人家屋の半潰三戸其他 建物(たてもの)五棟なり
●三輪村
本村は戸数四百五十七戸人口二千六百五十一人あり本村中貝沢
大久保は雄勝郡中最も烈震(れつしん)にして負傷三人全潰家屋七戸半潰十
一戸土蔵全潰三棟なり
●院内銀山
本山の被害は多少あるも大害(たいがい)なし只同日午后十一時の出火にて
三万三千〇五十八円の財産(ざいさん)を鳥有(ういう)に帰したりと云ふ
●南秋田郡
●土崎港町
本町は戸数二千〇八十四戸人口一万千八百六十九人あり同日の
震動は酒田の地震より激(はげ)しく桶中の水 溢(いつ)出し物品の転倒家屋土
蔵の壁 亀裂(きれつ)せる所あり
●広山田村
本村は四百四十三戸人口二千九百三十六人あり南秋田郡中尤も
激しきを覚(おぼ)ゆ同村にては全潰 家屋(かおく)及半潰家屋各二戸づゝありし
よし
●寺内村
土地大に亀裂(きれつ)を生し濁水非常に噴出したれとも家屋被害なし
【右側下段】
●五城目町
本町は戸数九百〇一戸人口四千三百八十七人あり其被害は左の
如し
土蔵の壁落ちたるもの二十三 〇仝亀裂四十一
其他被害多少あり
●下新城村
本村は五百〇五戸人口三千〇二十人あり被害は尤も少し屋根傾
き或は器物 液体(えきたい)の溢出又は土地の亀裂等に過きす
●舟川港町
本町は四百五十二戸人口三千二百五十三人あり震動烈しく土蔵
四棟は左右前後の壁大に欠落(かけお)ち外に二棟は割れ目を生す人畜(にんちく)に
死傷(しゝやう)なし
●北磯村
本部落は家屋半潰一戸土蔵壁落二棟なり
●山本郡
●鹿渡村
本村の被害(ひがい)は棚より物品転落(ぶつぴんらくてん)し戸障子倒れたるのみにて被害(ひがい)な
し
●鵜川村
本村は強震(きようしん)のみにて被害なし
●東雲村
本村の字落合県道七八間 亀裂(きれつ)して高低を生し通行自由(つうかうじゆう)ならず
●榊村
本村は土蔵(どぞう)壁落八棟家屋の傾斜十戸其他被害なし
●浅内村
本村は根太板走り布板外つれて柱根一尺乃至二尺位土中に突込
みたる家二戸あり
【左側上段】
●北秋田郡
●阿仁鉱山
本山の被害(ひがい)は古河鉱山事務所の石垣(いしがき)高(たか)さ一丈より七八尺迄の処
数ケ所破壊し坑内(かうない)も又大破を生し即死数名あり烟突(えんとつ)の倒損墻塀
の崩壊甚た多し
●鷹巣村
本村は池水洩出し殆んと二寸余減せり屋根石(やねいし)転落し他に被害な
し
●鹿角郡
●花輪町
本村は安政(あんせい)地震(じしん)より感動薄し家屋(かをく)破損(はそん)なし
●毛馬内村
本村は烈震(れつしん)なりしも被害(ひがい)なし
●御救恤金並に吏員の出張
〇御救恤金 秋田県下地震被害の趣(おもむき)聞(きこ)し召され 聖上 皇后両
陛下より金五千円 恩賜(おんし)の旨宮内大臣より通達(つうたつ)ありたり
〇侍従派遣(じゝゆうはけん) 片岡侍従は震災地視察(しんさいちしさつ)の為九月十二日秋田県下へ
派遣相成りたり
〇罹災救助費支出(りさいきうじよひしゝゆつ) 秋田県にて罹災救助費として金六万一千四
百余円の救助費を支出せり
〇旧藩主(きうはんしゆ)の義捐 旧藩主侯爵佐竹義生公には今回(こんくわい)の震災被害者
へ救助金として金五百円を賜りたり
〇震災(しんさい)に付き秋田県より出張を命ぜられたる人名
震災取調御用に付仙北郡へ出張を命す
測候所技手 山 本 参之輔 同 船 山 貫一郎
震災地方実地調査として急行出張を命す
警 部 中 村 忍
【左側下段】
震災地方実地調査として仙北郡へ急行出張を命す
属 熊 井 武 美 仝 神 尾 重 信
仝 田 村 精 一 仝 横 山 爲 定
仝 古 澤 義三郎
御用有之震災地方仙北郡へ出張を命す
警 部 長 田 中 義 達 参 事 官 松 田 啓太郎
松田参事官仙北郡へ出張に付随行を命す
属 遠 田 順 治
震災事務委員を命す
属 鈴 木 得 之 仝 永 山 武 治
仝 高 林 知 秀 警 部 小 林 定 修
警 部 中 村 忍 技 手 西 宮 藤 毅
属 曲 木 光 弼 仝 熊 井 武 美
仝 神 尾 重 信 仝 飛 田 譲 藏
仝 遠 田 順 治 仝 横 倉 辨之進
仝 加 藤 正 誼 仝 児 玉 史 郎
仝 横 山 爲 定 仝 松 本 甲 蔵
仝 古 澤 義三郎 仝 田 村 精 一
仝 斎 藤 和 節 仝 筑 和 毅
仝 磯 部 恒 助 仝 出 盛 吾
〇山上分隊長の出張 秋田憲兵分隊長少尉山上光望氏は震災(しんさい)視(し)
察(さつ)として秋永軍曹を随へ九月一日大曲六郷方面に向け出張せり
〇属筑和毅氏の出張 同氏(どうし)は救護上の事務取扱(じむとりあつかひ)の為め出張せり
〇震源の探究(たんきう) 東京中央気象台(とうけうちうわうきしようだい)より学士数名本県に出張せり
〇震災調査会 同会(どうくわい)より中村達太郎根田耻臾山崎直方の三氏を
本県震災地(ほんけんしんさいち)へ派遣せしむ
〇秋田市医会 同会にては今回の震災(しんさい)に付き医員五名を被害地
に派遣して救護(きうご)に尽力することゝなり該五名の人々は秋田病院
看護婦五名を随へ九月三日大曲地方に向け出発せり其受持方面
左の如し