翻刻
こゝにともへこぜんはよし仲のとむらひ
いくさせんと大せいをあひ手にはたらきしかば
ちかつくものはあらざりけり
こゝにわたのよしもり
ついにともへごせんを
いけどり
かま
くらに
かいぢん
してげり
さても木曽殿
ほろび給ひ
しかば
みな〳〵
かち
どき
あげて
かまくらへ
かいぢんあり
けり
和田のよし
もりは
なさけ有
ものゝふにて
ともへ御ぜんの
くわいたい
なるを
しりて
かまくら殿へ
ねがひ
やどの
つまに
する
【巴御前を引き据えている侍の台詞】
つよい
おんなだ
現代語訳
ここに巴御前は義仲の弔い合戦をしようと、大勢を相手に戦ったので、近づく者はなかった。
ここに和田義盛がついに巴御前を生け捕りにして、鎌倉に凱陣して帰った。
さて木曽殿が滅び給いしかば、皆々勝ち鬨を上げて鎌倉へ凱陣したのであった。
和田義盛は情け深い武士であって、巴御前が懐妊していることを知って、鎌倉殿に願い出て、自分の妻とした。
【巴御前を引き据えている侍の台詞】
「強い女だ」
英語訳
Here, Lady Tomoe fought against great numbers in a memorial battle for Yoshinaka, and no one could approach her.
Here, Wada Yoshimori finally captured Lady Tomoe alive and returned to Kamakura in triumph.
Now that Lord Kiso had perished, everyone raised victory cries and returned to Kamakura in triumph.
Wada Yoshimori was a compassionate warrior, and knowing that Lady Tomoe was pregnant, he petitioned the Lord of Kamakura and made her his wife.
[Dialogue of the samurai restraining Lady Tomoe]
"She's a strong woman!"