翻刻
迷(まよ)ふことなかれことに三足の烏玉兎|桂男(かつらお)等は論(ろん)を待(また)ずして
明らか也但し月中の微黒(びこく)をもつて大地|山岳(さんかく)のかげの
うつる所となし其外諸説あれども元来日月は陰陽(ゐんよう)の
精(せい)の凝(こ)る処|然(しかう)して陰陽たへて二物とすへからず陰中に
陽あり陽中に陰なくんば有べからず又明中に暗(あん)あり暗中
に明あるは道の理たり日月の中に黒物あるも此理を推(おし)
て明ならん一書に月中の微黒|口伝(くてん)と有何ぞ今日の理
におゐて秘蜜(ひみつ)口伝といふことあらん孔孟(こうもう)の聖賢(せいけん)理の限(かぎり)
を説(とき)給へ共|終(つゐ)に秘伝といふことを聞ず 猶此外聞る説あれ
とも《ルビ:□|こく》に洩(もら)すへく自得(じとく)にあるへきものる?
○日月|蝕(しよく)
問て云日月の蝕(しよく)日は朔日に食し月は十四五六日の間に食す
毎月朔日は日月|同度(どうど)に出て食すべく例月(れいげつ)望(ぼう)には月食す
べきがごとししからずして食は各別(かくべつ)なるはいかん
答て云例月朔日に
日月|同度(どうど)に出れども
東西の経(けい)【左ルビ「たて」】度南北
の緯(い)【左ルビ「よこ」】度を同くせず
唯東西の度のみ同
くして日は高く月は
低(ひき)く南北に隔(へたゝ)る故に
食せず適(たま〳〵)東西南
北の度を同しく食|線(せん)
に出会(ておふ)時は食あり其
中に又|聊(いさゝか)の斜差(しやさ)有
時は欠る処の分少し
蝕(しよく)【左ルビ「むしはむ」】