翻刻
万国ともに見る所に
して暈(かさ)ある共万国
一(いち)やうに雨|降(ふる)へからず
此理いかん
答て云|先(まつ)日の暈(かさ)は
水気(すいき)地より上(のぼ)つて
日にせまり囲(かこ)んで輪(わ)
をなすよつて日転(てん)ず
れば従(したかつ)て抱囲(いたきかこみ)ながら
転(てん)ず元来(ぐわんらい)上昇(せう〳〵)せる
水湿(すいしつ)の気なればその
濃厚(しやうこう)なるものは必(かならず)雨の徴(しるし)とす月の暈(かさ)も又左のごとし中天に升(のぼ)り
集(あつま)る水気を月は元(もと)より水|精(せひ)なれば同気(どうき)吸(すい)入れて輪(りん)を現(あらは)す
此ゆへに暈(かさ)の厚薄(こうはく)によつて或(あるひ)は雨又は曇(くもり)風を占(うらな)ふ暈(かさ)
に星の見ゆるは其気|薄(うす)し但し日月ともに水気近より囲(かこん)
で暈輪(うんりん)をなせ共元より日月は高く暈(かさ)は甚|低(ひく)したとへば
水気此処の上に凝(こつ)て暈(かさ)となれ共|彼(かの)国は快晴(くわいせい)隈(くま)なきが
ごとし暈(かさ)はわづか数里の間に過(すぎ)ず此故に晴雨(せいう)其所に
したがふ又日の暈(かさ)は月の暈(かさ)に比(ひ)すれば極(きわ)めて多く雨あり其
ゆへいかん上|升(じやう)の水気日に近づくもの多くは太陽(たいよう)の為に乾散(かわきさん)ず
甚|濃(こき)ものは強(しい)て日に近づき囲(かこ)む月の暈(かさ)は上升(しやう〳〵)の水気|微(び)に
して薄(うすき)も同気(どうき)感(かん)じて近づきかこむ是|日暈(じつうん)の雨気(うき)多きに
如(しか)ざる所以(ゆえん)なり淮南子(ゑなんじ)に積陰(せきゐんの)気|久(ひさし)ければ水となる気(き)の精(せい)
は月となると云ごとく水精(すいせい)の月なれば同気(どうき)を吸求(すいもとむ)ること
理(り)のある所なり
○星(ほし)
暈(うん)【左ルビ「かさ」】