翻刻
於(おゐ)て何ぞ理のみにかゝわるべきや
○日月星|天(てん)に麗(かゝつ)て隕(おち)ず
問て云日月五星それ〳〵の白道(はくどう)も天に道(みち)あるにあらず唯(たゞ)其|標的(めあて)を下より
云のみと然らば其|周旋(しうせん)すること何によつて行(ゆく)や恐(おそ)らくは
空虚(くうきよ)の天(てん)にかゝる日月たちまち堕隕(おつ)べきがことし此理いかん
答て云日月五星天にかゝつて旋(めぐ)ること天は一気(いつき)の為に周旋(めぐつ)
て終古不易(しうこふえき)也たとへば器(うつわ)に水を湛(たゝへ)て其中に砂石(しやせき)を投(たう)じ
これを掻廻(かきめぐ)らす時は大小の砂(いさご)周旋(めぐり)〳〵て或(あすひ)は遅(おそ)く又は疾(はや)く
又は高く或(あるひ)は低(ひき)くめぐらすこと間断(かんたん)なければ弥(いよ〳〵)廻(めぐ)りて止(やま)ず
一所(いつしよ)に落居(おちつく)ことなし天の諸曜(しよよう)をめぐらすこと此|器水(きすい)の
めぐつて間断(かんだん)なきものと同じ其|止(やま)ず廻(めぐ)らすものは一気なり
此天をさして宗動天(そうどうてん)とも云日月|星辰(せいしん)一息(いつそく)の間断(かんだん)なく
旋(めぐつ)て隕(おつ)べきの間際(いとま)なしこれ其|終古(しうこ)空虚(くうきよ)にかゝつて
めぐる所以(ゆえん)なり楊雄(ようゆう)が校猟賦(かうれうのふ)に日月星を三|霊(れい)と云り
○星の飛(とぶ)并|妖火(ひかりもの)
問て云上天の星|瞬(しゆん)
息(そく)の間に流(なが)れ飛(とん)で
忽(たちま)ち其処をしらず又
は尾(を)を引て飛(とぶ)こと長(なが)
きもの有|流星(りうせい)と云
是何ものぞ都(すべ)て夏(なつ)
の空(そら)に多く飛(とび)もの
光(ひかり)もの有|或(あるひ)は金玉(かねだま)抔(など)
いふて音(おと)をなして飛(とぶ)有
此理はいかん
奔星(ほんせい)
妖火(とびもの)