翻刻
かよひ火坑(くわこう)の形状(かたち)はたとへは埋(うづ)み火の如く自然(しぜん)に地
気(き)を蒸(むし)あげて万物これが為に生育(せいいく)す此故に先
地震はじめて発する時《ルビ:煙気|えんき》地上に蒸(むし)騰(あがり)て暫時(しばらく)の
うちに空中(くうちう)を掩(おほ)ひ星宿(ほし)光輝(ひかり)を失ふをもつて験(しるし)
とすその今まのあたり見聞(けんもん)し常に形容(かたち)をみる者
は信州肥州薩州日州豆州等の山〻その外 尚(なを)多し火
脈(みやく)の流通(るつう)せざるは魯西亜国(おろしやこく)の東南の地 亜米利加(あめりか)国
の北の地方に多かりこれらの地は荒漠(あれはて)て艸木すら
生育(せいいく)せず火気の流通せる地方は殊に膏腴(かうゆ)にして
萬物 肥饒(ひによう)すこれ造物者(ざうもつしや)の奇巧なるかなしかれ
どもかくの如き広(こう)大 利用(りよう)をなす者は害(がい)を生する
も又 極(きは)めて大なり地震津浪のるい是なり前に云