翻刻
がために勃蕩(ぼつたう)するにて地震(ぢしん)することに洪浪(つなみ)かならす
起(おこ)るといふ理(ことはり)ありといふにはあらずたゞ火気の海中
に起るとおこらさるによれりあるひは地震の為(ため)に
洪水(かうすい)をおこすものありこれは火気|発動(はつどう)するが為に
山脈(さんみゃく)を毀(こぼ)ち地下を通(かよ)ふ水源を沃(そゝ)き川谷を注(さ)るに
起(おこ)るまた洪浪(つなみ)のるいは山谷の狭隘(せま)き地は害(がい)多く平(たい)
坦(ら)に開豁(ひらけ)たる地は害(がい)少(すく)なかるべしその理(ことはり)いかにといふに
狭隘(せま)き地は水勢(すいせい)吹(ふき)あがりやすく平坦(たいら)の地は障(さゝは)るもの
なきがゆゑに水勢すみやかに衰(おとろ)へるなり大概(おふよそ)かくの
ごとし
天武天皇七年|筑紫(つくし)の国|地裂(ちさく)ること広(ひろ)さ二丈長さ三
千余丈民家多く倒(たふ)る