翻刻
ありて東南よりゆり出し大地震はそのゆること天
地も一ツになるかと疑(うたが)ふ大地二三尺にわりさけ水わき
出(いで)山 崩(くづ)れ人家 潰(つぶ)れる事 将基倒(しやうぎたふ)しの如く諸人 廣(ひろ)
場(ば)にはしり五人七人手に手をとり組(くみ)うつふしに
伏(ふす)といへども三間四間のあいだを轉(ころ)ばしあるひは
仰向(あをむき)になり又 俯(うつ)ふしに返(かへ)され半時ばかり大ゆり
あつて暫(しばら)くして止(とどま)るその間(あいだ)に気をうすなふ者かず
しれず
同年十一月四日未刻大雷雨同廿三日富士山 麓(ふもと)須走口(すはしりくち)
より山やけ出そのひゞき大雷の如く近国大地震して
灰(はい)のことき砂(すな)ふりて暗冥(くらく)咫尺(しせき)もわかたず黒夜(やみのよ)の如し
江戸 白昼(はくちう)に挑灯(てうちん)を用(もち)ふ諸人大に怖(おそ)る翌(よく)日にいたりて