みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

震雷考説 全 - 翻刻

震雷考説 全 - ページ 23

ページ: 23

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なるべしわづかの間をよぎりてか幸運(こううん)の程をよろこび 夜もすがら酒をくめども少しも酔(よ)はず耳鳴(みゝなり)脳乱(のふらん)いよ〳〵 強く翌朝(よくてう)とても只ならぬ心地なからも其所にいたり みれは倒(たを)れる所より四間程|隔(へだ)て早苗(さなへ)を泥(どろ)に打込 こと壱坪にたらす其あたり三四間真黒く黬(くたぶれ)たり此とき しもやつかれはもゝ引|胴巻(どうまき)帯(おび)どめなど腹(はら)を〆たるもの 多きゆへ外のものより響(ひゞび)きも軽(かる)かりしとみへたり 〇天保六乙未二月摂州|難波(なには)の津を立出て大和をめぐり 奈良(なら)より田丸|越(ごへ)をかけ伊勢へ参宮(さんくう)せし時|多気(たき)と仁ヶ(にか) 木の駅(しゅく)の間を馬に乗けるに立場にていぶせき茅屋(かやゝ)の軒 に馬をつなき馬士(まこ)支度するうち遠近の山にて雉子(きし)一時に 驚(おどろ)き鳴く故定めて地震ならんと急き馬よりをりると 至りて案にたがわず大地震にて屋根(やね)の石などおち けりつなきし馬はあれ出し大かたならぬ騒(さわ)きなり 其|儘(まま)乗(のつ)てあるならば落馬(らくば)は勿論|怪我(けが)あるべし 〇去年安政十一月四日大地震の時江戸向両国牛 嶋に通りかゝりし折から浅草御蔵川|端(ばた)大木の梢(こずへ)に 烏(からす)のはゞたく事夥(おびただ)しいつもにかはり小枝も見へぬばかり