翻刻
雷多きゆへ村民見つけしだひこれを
取殺といへり又此権現の山に鳥あり彼
雷といへる虫を甚好み取食ふ由へに此鳥
をも雷鳥といゝ習せり其鳥のかたり
鳩よりハ太く惣身黒く朱冠あり
雌(めんとり)【䳄は異体字】は《ルビ:斑紋|はんもん》ありてかしは雌の《ルビ:斑|ふ》のことし
此鳥松岡氏云大明一統志に載る所の
松雞なりといへり大明一統志にも古本
にハ松雞とあり校正の本にハ𪅂雞と
あり此鳥常に松柎の内に棲ゆへ松雞に
《ルビ:充|あて》たるかされバ古書にも 後鳥羽院の
御製とて 《ルビ:白|しら》山の松の木かけにかくろひて
やすらにすめる雷の鳥かな又家隆卿の
歌にあわれなり《ルビ:越|こし》のしら根に栖(すむ)鳥も
松をたのミて夜をあかすかなとよめり
いつれも松によそへたりされバ享保
のはじめ飛騨の国|乗鞍(のりくら)が嶽といふ
所に此鳥多くあるよし聞召及れ
有司に命ありて数十羽御取寄
のよし餌飼たがいぬるや多ハおち