翻刻
たるとそ餌袋を割之事に皆松ノ実
有之ゆへ松の実をとつて飼けれども
漸東都へは六羽ならでハまいらぬ
よし是も風土のたがいにや間も
なくミなおちけるとぞ此鳥《:陳眉公|ちんひこう》が
《ルビ:秘笈|ひきう》の中に太平清和といふ書あり
其中に灶神といふ鳥あり朱冠鳥
衣とあれバうたかふらくハ此鳥なるべし
灶神ハ《ルビ:竃|かまど》の神なれハ竃ハ火を司る
の神ノ霊なれバ雷にも縁あるにや今
吾国に俗間荒神の画馬とて鶏をか
けるもうたがふらくハ此灶神の誤なるべし
〇惣して雷の落たるあとに雷の
爪一ノ名天狗の爪其外色々のかたち有
ものあり世間に天狗の爪といふ物あり
所々の深山《ルビ:幽谷|ゆうこく》にて稀に拾ひ得る
といふ其状小きハ一二寸大きなるハ三四
寸本厚く末《ルビ:尖|とが》り両積刃のごとく極
て《ルビ:硬|かた》く重し色白〳〵末ハ青黒く
して光ノ沢あり又鴉の《ルビ:嘴|くちはし》に似て