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コレクション: STAGE3

変異辯 一名、天變地異拾遺 全 - 翻刻

変異辯 一名、天變地異拾遺 全 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

ありて、其後長治(そのゝちちやうぢ)二年六月、また文明(ぶんめい)九年七月|北(ほく) 国(こく)に紅の雪のふりたることあり。また紅なるのみ ならで、緑(みどり)の雪(ゆき)の降(ふ)ることも、また黒(くろ)き雪のふること もありとぞ、かゝる雪の降(ふ)るは実(じつ)に怪(あや)しく凶変(けうへん) の兆(しるし)なりなどゝ|思(おも)ふなれども、然(さ)るものにはあ らで顕微鏡(けんびきよう)にて吟味(ぎんみ)すれば。誠(まこと)に微細(びさい)なる苔(こけ)の、 雪(ゆき)の中(なか)に生(をひ)たるを見或(みあるひ)はまた微細なる虫(むし)の群(むら) がりて、紅緑等(べにみどりとう)の色を顕(あらは)すをみるといへり、しか れば雪の紅或(くれなひある)は緑(みどり)なるは雪の色(いろ)にはあらで苔(こけ) 或(あるひ)は虫(むし)の色(いろ)と知(し)るべし    血(ち)の雨並(あめならび)に茶色(ちやいろ)の氷(こほり)のこと 西洋(せいよう)にて血(ち)の雨(あめ)の降(ふり)たることあり、皇国(みくに)にても天(てん) 平(びよう)三年|紀伊(きい)の海水血(かいすゐち)に変(へん)じ、長禄元年(ちやうろくぐわんねん)五月|猿沢(さるさは) の池水血(いけのみづち)となりたることあり、これらは誠(まこと)の血(ち)に あらざりしことは論(ろん)ずるにも及(およ)はず、前(さき)に言(い)へる 紅(くれなひ)の雪(ゆき)に同(をな)じく微細(びさい)なる虫(むし)の、雨或(あめあるひ)は水(みづ)の中(なか)に 群(むらが)り生(せう)じたるなるべし、紅海(かうかい)といふ海(うみ)の水紅(みづくれなひ)な るも「おすしらりや」と名(な)づくる植虫(しよくちう)の一種夥(いつしゆおびたゞ)し