翻刻
く集(あつま)れるものなりといふまた
西洋人南(せいようじんみなみ)の氷海(ひやうかい)に於(おひ)て、茶色(ちやいろ)なる氷(こほり)を見出(みいだ)した
り、其初(そのはじめ)は火山(くわざん)より噴出(ふきいだ)したるものと思(おも)いしに、
日耳曼国(ぜるまんこく)に持来(もちきた)り或識者(あるものしりびと)にこれを見(み)せし所(ところ)に、
其人顕微鏡(そのひとけんびきよう)を以(もつ)て之(これ)を吟味(ぎんみ)せし所(ところ)、数限(かずかぎり)もなき
水虫(すゐちう)の集(あつま)りて成(な)れるものなりし、さて其虫(そのむし)は四(よ)
年(ねん)の後(のち)までも生(いき)てありしよし云(い)へり
洞抜(ほらぬけ)の事(こと)
山(やま)の俄(にはか)に破裂(はれつ)して夥(おびたゞ)しく水(みづ)を吹出(ふきいだ)し、近傍(きんへん)の民(みん)
家田畠(かたはた)を流(なが)し、人命(じんめい)をさ
へ害(そこな)ふことあり、これを山(やま)
津浪(つなみ)といひ或(あるひ)は洞抜(ほらぬけ)と
いふ、これは年経(としふ)る螺貝(ほらがい)
の、地中(ちちう)に潜(ひそ)みたるが時(とき)
を得(え)て天(てん)に昇(のぼ)るなどゝ
いふなれども、元(もと)よりさ
ることのあるべくもあら
ず、是(こ)は螺(ほら)と洞(ほら)と音同(こへおな)じ