翻刻
きより、かゝる妄説(もうせつ)を言伝(いひつた)へたるものなるべし、
或(あるひ)は凶事(きよじ)の徴(しるし)なりとて恐(をそ)るゝなれども、自(おのづか)ら道(どう)
理(り)のあることにて、奇怪(きくわい)なるものにはあらず、其理(そのり)
いかんといふに、即(すなは)ち左(さ)の如(ごと)し、右(みき)に示(しめ)せる図(づ)は
仮(かり)に山(やま)を二(ふた)つに割(わ)りて、其中(そのなか)の形状(かたち)を顕(あらは)せるな
り、図(づ)の中に《箱:い》の印(しるし)あるは洞(ほら)なり《箱:ろ》《箱:ろ》は水道也(みづみちなり)
雨(あめ)の度々(たび〳〵)水其水道(みづそのみづみち)を透(とほ)して洞(ほら)に溜(たま)り、溜りたま
りて洞(ほら)に満(み)ち、遂(つひ)に其水道(そのみづみち)にまで満(みつ)る時(とき)は、その
水道(みづみち)に溜(たま)りたる水(みづ)の圧下(をしさぐ)る力(ちから)は《箱:は》《箱:は》《箱:は》《箱:は》の点(てん)
打(うち)たる線(すじ)の中一面(うちいちめん)の水(みづ)を以(もつ)て推下(をしさが)る力(ちから)と同(おな)じ
勢(いきおひ)なれば、さしも堅(かた)き岩(いは)をも破(やぶ)りて水(みづ)を吹出(ふきだ)す
にいたるなり。此理(このり)は左(さ)の図の如(ごと)き仕掛(しかけ)を以(もつ)て
試(ため)さば明(あき)らかなるべし。図(づ)の中(うち)に《箱:い》の印(しるし)あるは
堅固(けんご)なる桶(おけ)にて《箱:ろ》《箱:ろ》は鉄(てつ)の管(くだ)なり。此桶(このをけ)に水(みづ)を
詰(つ)め管(くだ)より再(ふたゝ)び水(みづ)を注(そゝ)ぎ入(い)れば其水(そのみづ)の
【説明図】