翻刻
圧(お)す力(ちから)は《箱:は》《箱:は》《箱:は》《箱:は》の点打(てんうつ)たる線(すし)の中一面(なかいちめん)の水(みづ)
を以(もつ)て推(お)す力に同(おな)じくして。桶(をけ)は忽(たちま)ち破裂(はれつ)する
に至(いた)る。猶水(なほみづ)の圧力(あつりよく)のことは拙著窮理早合点(せつちよきうりはやがてん)の第(だい)
二編巻(にへんまき)の上水学(じやうすゐがく)の部(ぶ)に説(とき)たれば。今(いま)こゝにこれ
を略(りやく)す
空中(くうちう)に人(ひと)の顕(あらは)るゝ事
数年前(すねんぜん)の事(こと)なり「へえん」といへる人(ひと)、日耳曼国(ぜるまんこく)の
「はあつ」といふ山(やま)に登(のぼ)り「ぶろけん」と名付(なづく)る所(ところ)に
至(いた)り西南(にしみなみ)の方(かた)を眺望(てうぼう)せしに忽(たちま)ち一(ひとつ)の巨人(おほびと)の立(たて)
るを見(み)たり、折(おり)しも山風吹来(やまかぜふききた)
りて帽子(ばうし)を落(おと)さんとせしか
ば、手(て)を挙(あげ)てこれを持(もち)しに巨(おほ)
人(びと)もまた其状(そのかたち)をなしたり「へ
えん」腰(こし)を屈(かゞ)めて巨人(おほびと)に礼(れい)す
れば、巨人もまた同(どう)
時(じ)に答礼(とうれい)せり、此時(このとき)
「へえん」他(た)の一人(いちにん)を
呼来(よびきた)れば、巨人も又(また)