翻刻
其行筋必(そのゆきすぢかな)らず折曲(をりまが)る理会(りやい)、第(だい)二に
は空気温(くうきあたゝ)まれは薄(うす)くなり、冷(ひゆ)れば
濃(こ)くなる理会(りやひ)なり、光(ひかり)の物(もの)を透(とほ)せ
ば其行筋(そのゆきすぢ)の折曲(をりまが)るは下(した)の図(づ)の如(ごと)
し、水(みづ)を茶碗(ちやわん)に一杯満(いつぱいみた)しこれに銭(ぜに)
を沈(しづ)め《箱:は》の所(ところ)よりこれを見(み)れば、
銭(ぜに)は《箱:い》の所(ところ)に在(あり)て茶碗(ちやわん)の縁(ふち)に覆(おほは)
れたりといへども、光(ひかり)は水(みづ)を透(とほ)して折曲(をりまが)り《箱:は》に
至(いた)りて目(め)に入(い)るが故(ゆゑ)に恰(あたか)も《箱:ろ》の所にあるが如(ごと)
く見(み)ゆるなり、また空気温(くうきあたゝ)まれば薄くなり、冷(ひゆ)れ
ば濃(こ)くなるの理会(りやひ)は目(め)にかゝらぬ物(もの)なれば、甚(はなは)
だ知(し)りがたきものなれども、都(すべ)て空気(くうき)に限(かぎ)らず、
何物(なにもの)にても熱(あつ)くなれば脹(ふく)れ、冷(ひゆ)れは縮(ちゞ)まるもの
にて脹(ふく)るれば薄(うす)くなるに相違(さうゐ)なく縮(ちゞ)まれば濃(こ)
くなるに相違(さうゐ)なし、空気の脹れあるひは縮まる
を試(ため)すには「ごむ」の袋(ふくろ)に空気を入(い)れ火(ひ)に暖(あたゝ)むれ
ば次第(しだい)に大(おほ)きく広(ひろ)がり冷(ひや)せば又次第(またしだい)に小(ちひ)さく
なるをもつて、空気の濃(こ)くなりうすくなることを