翻刻
【右丁】
穂(ほ)を成(な)し細紫花(ちいさきむらさきのはな)を開(ひら)き細小(こまかなる)子(み)を結(むす)ぶ芳香(にほひよく)愛(あひ)す
べし葉子(はもみも)共に《振り仮名:薬品|やくひん|くすり 》《振り仮名:食料|しよくりやう|たべもの 》に充(あて)て所用(もちゆるところ)多し●気味葉は
辛(からく)温(うん)に毒なし子(み)も亦(また)温に毒なし主治 気(き)を下(くだ)し寒熱(かんねつ)
を除(のぞ)き一切の冷気(ひや☐き)を治(なを)し肌表(うははだの)風寒(ふうかん)を発散(はつさん)し魚(うを)
蟹(かに)の毒(どく)を解(げ)す表虚(ひやうきよ)の人 脾胃(ひゐ)寒冷(かんれい)の人 多(おほく)食(しよく)する
事なかれ
防風(ほうふう)《割書:俗 称(となへ)なり薬種に充るは誤なり和名|はますがな又はまにがな今浜防風》水辺(すいへん)砂壌(すなぢ)に生ずる者(もの)
又は山中 渓石(たにいし)の間(あはひ)に生ずるものあり苗(なへ)葉(は)略(ほゞ)芹(せり)に類(るい)して葉(は)は
【左丁】
浅緑(うすみとり)其 茎(くき)初(はしは)紫赤色(むらさきあかいろ)相 抱(いだき)て生姜(しようが)の苗(なへ)に類(るい)す稍(やゝ)長(そたち)て
葉(は)円(まろく)く#1厚(あつ)く深青(こくあをく)鋸歯(きざみ)あり茎(くき)もまた濃緑(こいみとり)白根(しろね)黄色(きいろ)也
今 初生(めだし)を採(と)り蔬(さい)となす芬芳(にほひよく)微(すこし)辛(からく)愛(あい)すべし●気味微辛 ̄ク
甘 ̄ク温(うん) ̄ニ毒なし《振り仮名:生食|せいしよく|なまでくふ 》に良(よ)し俗(ぞく)魚膾(なます)に和(わ)して食す主治未 ̄タ_二詳 ̄ニ考 ̄ヘ_一
土当帰(どとうき)《割書:今のうど是なり独活は|うどもどきなり》嫩(めだし)なる時 蔬(さいのもの)となす長(たけのぶれ)ば
食(くらふ)にたえず冬より春初に至り用ゆるものは搪萌菜(もやし)也
●気味甘若辛微温毒なし主治風を除(のぞ)き血(ち)を和
す癬疥(かゆがり)ある人 眼病(めやみの)人に俗に禁ずといへども妨(さまたげ)なし