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コレクション: コレクション2

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4670 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4670 - ページ 70

ページ: 70

翻刻

【右頁】   病(へい)関(くわん)索(さく)楊(やう)雄(ゆう) 厥妻(そのつま)にして邪(じや)を行(おこな)ひ。他家(よそ)の 漢(をとこ)に艶(ゑん)するを。その夫(をつと)として 怒(いか)らざらんや。况(いはん)や勇(ゆう)に 傷(きず)をつけ。義(ぎ)を損(そこね)たる 奸邪(かんじや)の巧雲(きやううん)。快(こころよい)哉(かな) 山神(さんじん)の祠(ほこら)の前(まへ)に 殺(ころ)したる。悪妻(やまのかみ) が死骸(しがい)を。 翠屏(すいへい)深(ふか)く 潜(かく)せしは。是(これ) 妻(つま)の為(ため)ならず。  夫(おつと)楊雄(やうゆう)が身(み)    のためなり 【左下欄外】ウ上◯下ノ八 【左頁右下欄外】上◯下ノ九   捨(しや)命(めい)三(さぶ)郎(らう)石(せき)秀(しう) 楊雄(やうゆう)醉話(すいわ)の誤(あやまち)より。巧雲(きやううん)が邪舌(じやぜつ)に 誑(たら)され。その疑(うたがひ)の石秀(せきしう)が。身(み)に 覆擁(ふりかゝ)るを雪(すゝ)がんと。或(ある) 暁(よ)楊雄(やうゆう)が殿口(うらもん)に。邪(あやしき) 奸(もの)の出(いで)やすると。窺(うかゞひ) 俟(まつ)たる恰撞着(であいがしら)。内(うち) より出(いで)たる一個(ひとり)の 頭陀(しやみ)。爾(おのれ)邪乎(あやし)と 拏捕(ひつとら)へ。拷問(ごうもん)すれば 隨作(ありのまゝ)。語(かた)るを听得(きゝとり) 特地(とくち)に殺(ころ)し。その  直綴(ぢきとつ)を咱身(わがみ)に纏(まと)ひ。合圖(あいづ)に鳴(なら)す 木魚(もくぎよ)の声(こゑ)に。他(ひと)看(あ)やなしと裴如海(はいじよかい)。 潜出(ひそみいで)しが刀(かたな)の下(もと)。法水(ほうすい)淫(いん)して血潮(ちしほ)と  なるは。是(これ)石秀(せきしう)が剱(つるぎ)の妙(めう)なり

現代語訳

【右頁】   病関索 楊雄 その妻が邪なことを行い、よその 男に心を寄せているのを、その夫として 怒らないわけがあろうか。ましてや勇気に 傷をつけ、義理を損なった 奸邪な巧雲。気持ちよいことだ、 山神の祠の前で 殺したその悪妻 の死骸を。 翠屏山の奥深くに 隠したのは、これは 妻のためではなく、  夫楊雄自身の    ためなのだ 【左下欄外】ウ上○下ノ八 【左頁右下欄外】上○下ノ九   捨命三郎 石秀 楊雄の酔った時の話の誤りから、巧雲の邪な言葉に 騙され、その疑いが石秀の身に 降りかかるのを晴らそうと、ある 明け方、楊雄の裏門で、怪しい 者が出てくるのを窺い 待っていた、まさにその時。内 から出てきた一人の 坊主。お前は怪しいと 捕らえて、拷問すると ありのままに語るのを聞き取り、 その場で殺し、その 直綴を自分の身にまとい、合図として鳴らす 木魚の音に、他の人が見ていないかと裴如海が こっそり出てきたが、刀の下で 法水が淫らに流れて血潮と  なったのは、これは石秀の剣の妙技である

英語訳

【Right page】   Sick Pass Suo (Yang Xiong) His wife committed adultery and gave her heart to another man's husband - how could he as her husband not be angry? Moreover, she damaged his courage and harmed his righteousness - the wicked and crafty Qiao Yun. How satisfying it was to kill that evil wife in front of the mountain god's shrine. Hiding her corpse deep in Cuiping Mountain was not for the sake of his wife, but for  her husband Yang Xiong's own    sake. 【Left bottom margin】U upper ○ lower No. 8 【Left page right bottom margin】Upper ○ lower No. 9   Life-Sacrificing Third Son Shi Xiu From Yang Xiong's mistaken drunken words, he was deceived by Qiao Yun's wicked tongue, and to clear away the suspicion that fell upon Shi Xiu, one dawn, at Yang Xiong's back gate, watching and waiting for suspicious persons to emerge, at just that moment a monk came out from inside. "You are suspicious!" he captured him, and under torture heard him confess everything truthfully, then killed him on the spot, wrapping the monk's direct robe around his own body. At the sound of the wooden fish struck as a signal, wondering if anyone else was watching, Pei Ruhai crept out, but under the sword the sacred water flowed lewdly, becoming a stream of blood -  this was the excellence of Shi Xiu's blade.