Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション6

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 4260 (2) - 翻刻

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 4260 (2) - ページ 11

ページ: 11

翻刻

【右丁】 そのゝちしんかいとひ給ふはそも〳〵この御 ほとけは三国一のによらいとうけたまはり 侍るいかなる人の御さう〳〵【造像】にておはす やらんととひ給ひけれはたうす【堂司】はきこし めしてされはとよこ【横】のからん【伽藍=寺の建物の総称】はしやうむく はうてい【聖武皇帝】のごこんりう【御建立】たうし【「たうす」に同じ】はりやうへん そうしやう【良弁僧正=奈良時代の僧】と申て世にたくひなきかうそ のにておはしますしかるにこの僧正のしやう こく【生国】はさかみ【相模】の国おほやまのこほりうるしへ むらのとみん【土民=土着の住民】の子にてましますこゝになん 【左丁】 えんたう【擔頭=軒先】に北のかたにしゆこんかうほさつ【執金剛菩薩】 みなみのかたにはくはんせをんほさつ【観世音菩薩】おはし ますさてこのしゆこんかうほさつこかねの わし【鷲】とへんけ【変化】ましましさかみの国へとひ ゆき給ふこのりやうへんはそのころとし二さ いなるかわら【藁】にて作りたるうつはものに入て 田のあせ【畔】にをきおやはたかやしてゐたりし かこのわしかの子をかいつかみ【「搔き掴み」の変化した語=ぐいと掴む】てこくう【虚空=大空】へあかり けるほとにちゝはゝかなしむことかきりなし かくてこのわしなんと【南都】へきたり藤原のさいし

現代語訳

【右丁】 その後、真海がお尋ねになるには「そもそもこの御仏は三国一の如来とお聞きしておりますが、いかなる人の造像でいらっしゃるのでしょうか」とお尋ねになったところ、堂司は承知して「それでは、あの横の伽藍は聖武皇帝の御建立、堂司は良弁僧正と申して、世に類なき高僧でいらっしゃいます。しかるにこの僧正の生国は相模の国大山の郡漆部村の土民の子でいらっしゃいます。ここに 【左丁】 軒先に北の方に執金剛菩薩、南の方には観世音菩薩がいらっしゃいます。さてこの執金剛菩薩が金の鷲と変化なさって、相模の国へと飛んで行かれました。この良弁はその頃歳二歳になる藁で作った器物に入れて田の畔に置き、親は田を耕していました。この鷲がその子をぐいと掴んで大空へ上がったところ、父母が嘆くことは限りありませんでした。こうしてこの鷲は南都へやって来て、藤原の宰相

英語訳

【Right page】 After that, Shinkai inquired, "I have heard that this Buddha is the greatest Nyorai in the three countries. I wonder who created this statue?" The temple administrator acknowledged this and said, "Well then, that horizontal temple building was established by Emperor Shomu, and the temple administrator is the monk Roben, who is an incomparable high priest. However, this monk's birthplace was in Sagami Province, in Oyama District, Urushibe Village, and he was the son of a local resident. Here, 【Left page】 at the eaves, to the north is Shukongoshin Bodhisattva, and to the south is Kanzeon Bodhisattva. Now, this Shukongoshin Bodhisattva transformed into a golden eagle and flew to Sagami Province. This Roben was at that time two years old, placed in a vessel made of straw on a rice field ridge while his parents were working in the fields. This eagle grabbed the child and soared into the sky, causing the parents' grief to be limitless. Thus this eagle came to Nanto (the southern capital), to Fujiwara no Saishō