Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション6

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 4260 (2) - 翻刻

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 4260 (2) - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【右丁】 おほして   いかてかはくもりはせまし月かけの   こゝろの水のにこりあらすは かやうになかめて夜もほの〳〵とあけぬ れはまたこそまいり侍らめとてたかひに なこりをおしみてわかれ給ひけるさるほ とに大なこんとの北の御かたは仲太三郎 かとんせい【遁世】して国〳〵をしゆきやうするよし をきこしめしさても〳〵ありかたきこゝろさ しにこそ侍れつら〳〵ものをあんするに 【左丁】 この侍従のきみと申ははつせのくはんせ をんにいのりたてまつりてえたかわか子なれ はいかてかゝるわさはいにはあふへきし かるに父の手にかゝりてむなしくなりぬ ることはいかさまにもほとけの御はうへん【方便】 にて生あるものはたかきもいやしきかし こきもをろかなるものかれかたきことをし らしめてのちの世をたすけたまはんとの 御ちかひなるへしかくありかたきことをまの あたりにみなからなにゝこゝろをなくさみて

現代語訳

【右丁】 思われて  どうして曇ることがあろうか、月影の  心の水に濁りがなければ このように物思いにふけっていると、夜もほのぼのと明けてしまったので、「また参上いたしましょう」と言って、互いに別れを惜しんでお別れになりました。そのうちに、大納言殿の北の方は、仲太三郎が出家遁世して諸国を修行して回っているということをお聞きになり、「それにしてもありがたい心がけでございます。つらつら物事を考えてみますに、 【左丁】 この侍従の君と申しますのは、長谷の観世音に祈り申し上げて授かった我が子でありますのに、どうしてこのような災いに遭うのでしょうか。しかるに父の手にかかって命を失うということは、いかようにも仏の御方便によって、生きとし生けるものは貴いも賤しいも、賢いも愚かなるものも、皆が苦難を知らせめて後の世を救おうとの御誓願なのでしょう。このようにありがたいことを目の当たりに見ながら、何によって心を慰めて

英語訳

【Right page】 thinking:  How could it become clouded,  If there is no muddiness in the water of the moon's reflection in the heart Contemplating in this way, the night had gradually dawned, so saying "I shall visit again," they reluctantly parted from each other. Meanwhile, the Kitano-kata (wife) of the Great Councilor heard that Nakataro Saburo had become a monk and was traveling through various provinces in religious training, and thought, "What an admirable disposition this is indeed. Reflecting deeply on matters, 【Left page】 this Jiju-no-kimi (Chamberlain) was a child I received through prayers to the Kannon of Hase, so why should he meet with such misfortune? Yet, that he should lose his life at his father's hands must surely be through Buddha's skillful means - his vow to make all living beings, whether noble or humble, wise or foolish, understand suffering so as to save them in the afterlife. Having witnessed such a blessed thing before my very eyes, with what shall I console my heart