翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

化物楽屋異牒 : 2巻 - 翻刻

化物楽屋異牒 : 2巻 - ページ 15

ページ: 15

翻刻

わしをふるよは【女に振られた夜は】 ひとしほながし ばければくびか なをながしみ こしにうどう はかげのあまり けいせいをつけ てこのあきわ やのびやうぶの そとからよその 恋よとうら山し【よその恋よと…は忠臣蔵の台詞】 くくびをみつ かつたもしらず       いる 【左ページ】  ふさ〳〵しい【大げさだ、ふてぶてしい】 ちくるいのうん たまごのふわ〳〵だ 【畜類の産んだ孫→たまごのふわふわ(江戸時代の人気料理)…と続ける洒落】 いろおとこだ らふ今じぶんに なつてくることはねへ よによろしいで けものはあしをあ らつてねるじぶんだ 【よろしいの反対で悪し(あし)、悪しに足をかけて、足を洗って寝る時分につなげる洒落】 ばからし いいゝおと こじやァ おつせん せむし でおら すはな

現代語訳

私が女に振られた夜は、ひとしお長し。化ければ首がなお長し。見越し入道は影のあまり、傾城を連れてこの秋葉屋の屏風の外から「よその恋よ」と恨み、首を見つかったかも知らない。 【左ページ】 「大げさな畜類の産んだ卵のふわふわだ」 「色男だろうが、今時分になって来ることはない。よろしい。獣は足を洗って寝る時分だ」 「ばからしい。いい男じゃあおっせん。せむしでおられるはな」

英語訳

When I was rejected by a woman, the night felt especially long. If I transform, my neck becomes even longer. The Mikooshi-nyudo, due to his excessive shadow, brought a courtesan and from outside the folding screen of this Akiba-ya shop, lamented "someone else's love," and his neck might have been discovered. 【Left Page】 "What an exaggerated fluffy egg laid by a beast!" "He may be a ladies' man, but he won't come at this time of night. Good. It's the time when beasts wash their feet before sleeping." "Ridiculous. He's not a handsome man. He's a hunchback, isn't he?"