翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

化物楽屋異牒 : 2巻 - 翻刻

化物楽屋異牒 : 2巻 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

大よせ小よせ のばけもの なかまはこんくは いかかうしやく にて大 つうになり 人をおと かすのば かすのといふ やうな やぼせかいはなし たぬき なんともはらつゞみをうつてまでは ゑど ぶしでもうなりめりやすでもけい こするといふくらいのことなれは ばけものゝかくや【楽屋】もそろ〳〵す いびしてゆうれいののつてでる どうぐやうすどろのたい こゆき女か ふらす三角 のゆきねこ またのあか まへたれも 太夫ではないか くものすだらけ       なり ねこ又と ゆき女は女げいしやに なり いつれ名所はかうかわる川〳〵おもしやぐらいは【???】 あじを  やりしかゝみならぬし のきの  よこくしについたほ上ヶ のひか【?】 もらいわたしやあとう さんを  きてみたいそしてね 【左ページへ】 し■ちや とんのおひが ほしいあ したはたれ さんとまつ さきへゆく【明日は誰さんとまつさきへ行く】 はつさあ【はづさ、あ】 さつては【さっては】 まつち【待乳】 山のふさ じきへ【?】 ゆくやく そくをし やしたお めへもゑゝ【?】 ひなはん【?】 ねへ【?】かとひと りならす ふたりまで おちやつひいや【おちゃっぴい、売れ残りの遊女】 ちんころ【狆ころ、小型犬】ころ ばぬよふじん しなさへ ばけものゝかく やはつにあらは すとふりやつはり 三かいのよくにてしよ じしば いのとふりなりたぬきかいる ほうをはやし丁といゝきつねの いるほうをいなり丁という 【左ページ下段】 おめへのいしやう づけは伝 さんのは らといふ ところだ    よ ねこまた ほうが みゝを ばんに もちい ■も いゝ   〳〵  

現代語訳

大寄席、小寄席の化け物仲間は、コンクハイの講釈で大通人になり、人を騙すのばかりだという、そのような野暮な世間話をやめて。 狸:「なんとも腹鼓を打つまでは、江戸節でも唸り、めりやす(メリヤス)でも稽古するというくらいのことなので、化け物の楽屋もそろそろ洒落て、幽霊の乗って出る道具や薄泥の太鼓、雪女が降らす三角の雪猫、またの赤前垂れも太夫ではないか。蜘蛛の巣だらけなり。」 猫又と雪女は女芸者になり、いずれ名所は変わるもの、川々面白いぐらいは味をやったが、軒の横櫛について、もらい渡しや阿東さんを着てみたい、そして。 【左ページへ】 「しっちゃ、とんのお日が欲しい。明日は誰さんと真っ先へ行く。はっさあ、さっては待乳山の房へ行く。約束をした。お前も良い雛判ねえ。」と一人でなく、二人まで、お茶っ引い(売れ残りの遊女)や狆ころころが転ばぬよう、品さえ。 化け物の楽屋は住み分けを現すというと、やはり三階の欲にて少し芝居の振りなり。狸がいる方を林町といい、狐のいる方を稲荷町という。 【左ページ下段】 「お前の意匠付けは伝さんの腹というところだよ。」 猫又の方が耳を番に用い、それも良い。

英語訳

The monster companions from the large and small variety halls became sophisticated urbanites through Konkuhai's lectures, but let's stop this boorish gossip about them just deceiving people. Tanuki: "Well, until I beat my belly drum, I might hum Edo-bushi or practice knitting, so the monsters' dressing room is gradually becoming stylish too. The props for ghosts to ride out on, thin mud drums, the triangular snow cats that the snow woman makes fall, and the red aprons—aren't they like masters of their craft? All covered in spider webs." The cat-demon and snow woman became female entertainers. Places of note change eventually. Though the rivers provided some amusement, regarding the side combs under the eaves, I'd like to try wearing the hand-me-downs and Atō-san's clothes. [To left page] "I want a good sunny day tomorrow. Tomorrow I'll go first with so-and-so. Well then, I'll go to the hermitage at Machiyama. I made a promise. You're also a fine little doll, aren't you?" Not just one person, but up to two, including the leftover courtesans and little spaniels, maintaining proper decorum. The monsters' dressing room shows territorial divisions—indeed, with the desire of the third floor, it's somewhat like theatrical performance. The area where tanuki live is called Hayashi-chō, and the area where foxes live is called Inari-chō. [Lower left page] "Your design sense comes from Den-san's belly, so to speak." The cat-demon's way of using ears as guards is also good.