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虎列剌病予防の心得 - 翻刻

虎列剌病予防の心得 - ページ 3

ページ: 3

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【右】 〇又天麩羅類(またてんぷらるい)は假令青物(たとへあほもの)でも食(たべ)ぬが宜(よろ)し青菜(あほな)里芋(さといも)南瓜(かばちや)牛蒡(ごぼう)苣萵(ちさ)なぞは惡うござ り升/又総(またすべ)ての青物(あほもの)ても日増(ひまし)のものや生熱(なまにへ)のものは惡(わる)いと申ます 〇馬鈴薯(じやがたらいも)蕃薯(さつまいも)長芋(ながいも)紅羅荀(にいじん)大根等(だいこんなど)は能(よく)々煑(に)れば宜(よろ)しうござりますがこれも生(なま)にへ のものは惡(わる)うござり升 〇果物(くだもの)は桃(もゝ)李(すもゝ)梨(なし)林檎(りんご)葡萄(ぶどう)苺(いちこ)なぞの能(よ)く熟(つえ)たものは少(すこ)しづゝ食(たべ)ても宜(よろ)しう御ざり 升が熟(つえ)ない青(あほ)いのは決(けつし)て食(たべ)てhあなりませんぞ又/菌類(きのこるい)は御見合(をみあわ)せなされ 〇暑(あつ)さの時分(じぶん)は私共始(わたくしどもはじ)め湯水(ゆみづ)を多(おほ)く飲(のみ)ますが常(つね)に下痢症(くたりせう)の御方(おかた)なぞは成丈(なるたけ)お扣(ひかへ)なさ れまた又/沸騰(にへたつ)た湯(ゆ)を水に冷(ひや)してお飲(のみ)なされば宜(よろ)しう御ざり升か沸騰(にたつ)た湯(ゆ)は蒸發気(じようはつき)が たつて仕舞(しも)ふ故甘(ゆえうま)く御ざりませんからこれに葡萄酒(ぶどうしゆ)か茶(ちや)の又(また)は焼酎(しやうちう)を少(すこ)し入れて御(おん) 飲(のみ)さなるが宜(よろ)しい 〇牛(うし)の乳(ちゝ)の古(ふる)いの又あん気(け)の少し酸気(すゐ)の附(つき)たる物其他何品(ものそのたなにしな)によらず油(あぶら)こき物(もの)はすべ て少(すこし)ても食(たべ)てはなりませんぞまた餅類(もちるい)團子(だいご)等の消化(こなれ)の惡(わる)いものは必(かな)らづ御無用(ごむよう)に 【左】 なされませ 〇か様にあれもこれ惡い〳〵と言(いへ)へば食(く)ふ物(もの)はない様(やふ)に思(おも)はれませうがそういふ 譯(わけ)ではありません何(なん)でも消化(こなれ)のよい物(もの)を扣(ひか)へめに食(しよく)し[空服(すきはら)は宜(よろ)しからず]身体(からだ)を程(ほと) 能(よ)く運動(うごか)し[大骨折(おほほねをり)は宜(よろ)しからず]朝(あさ)は早(はや)く起(お)きて遊歩(ゆふほ)をなし[暑(あつ)ひとて夜歩行(よあるき)は宜(よろ) しからず]家室(すまひ)雪隠(せつゐん)[糞尿(くそしようべん)を多(おほ)く溜(た)め置(お)く時(とき)は終(つひ)にコロリの傅染媒介(うるつなかだち)となるものな り]等は能く掃除(そふぢ)をなし庭掃溜(にははきだる)を清浄(きれい)になし下水(げすい)の流(なか)れを通(とほ)しすべて新鮮空気(あたらしひくうき)の流 通様(よふよふ)に志(こゝ)づけ我(わ)が精神(こゝろ)を養(やしな)ひて体(からだ)の疲労(つかれ)ざる様になし又/憂(うれ)ひ愁(かなし)みあるいは憤怒事(はらのたつ)を せぬ様(やう)に氣(き)をつけ神思活發爽快(こゝろいき〳〵どこゝろよく)今日を送(おく)様(やう)にすれば決(けつし)てコレラに取付(とりつか)るゝの患(うれひ)は ござりませんぞ 〇夫(そ)れ金魚(きんぎよ)や鮒(ふな)は水(みつ)の中(なか)に生活(いき)て居(ゐ)り人間(ひと)は空氣(くうき)の中(なか)に生活(いき)て居(ゐ)もの故常(ゆえつね)によき 空氣(くうき)の中(なか)に居(ゐ)る様(やう)にすれば病氣(やまひ)も發(は)す又/惡(わる)い空氣(くうき)の中(なか)に居(ゐ)れば病(やまひ)を受(う)けるは自然(しぜん)の 理(わけ)で御ざり升マア心見(こゝろみ)に汚穢(きたなき)水の中(うち)へ金魚(きんぎよ)でも鮒(ふな)でも入れて置(おひ)て御覧(ごらん)なされ叚(だん)々に

現代語訳

【右】 〇また天ぷら類は、たとえ青物(野菜)でも食べない方が良い。青菜、里芋、南瓜、牛蒡、レタスなどは悪う ございます。また、すべての野菜でも、日に当たって萎びたものや生煮えのものは悪いと申します。 〇馬鈴薯、薩摩芋、長芋、人参、大根等はよく煮れば宜しうございますが、これも生煮え のものは悪うございます。 〇果物は、桃、李、梨、林檎、葡萄、苺などのよく熟したものは少しずつ食べても宜しう御 ざいますが、熟していない青いものは決して食べてはなりませんぞ。また、キノコ類は控えなされ。 〇暑さの時分は、私どもをはじめ湯水を多く飲みますが、常に下痢症の方などは成るべくお控えなさ れ。また、沸騰した湯を水で冷やしてお飲みなされば宜しうございます。沸騰した湯は蒸発気が 立ってしまう故に甘くございませんから、これに葡萄酒か茶、または焼酎を少し入れてお 飲みになるのが良い。 〇牛の乳で古いもの、また少し酸っぱい匂いの付いた物、その他何品によらず油っこい物はすべ て少しでも食べてはなりませんぞ。また餅類、団子等の消化の悪いものは必ずお控えに 【左】 なされませ。 〇このように、あれもこれも悪い悪いと言えば、食う物はないように思われましょうが、そういう 訳ではありません。何でも消化の良い物を控えめに食し、【空腹は宜しからず】身体を程 よく運動し、【大骨折りは宜しからず】朝は早く起きて散歩をなし、【暑いといって夜歩きは宜し からず】住まい、便所【糞尿を多く溜め置く時は、ついにコレラの伝染媒介となるものな り】等はよく掃除をなし、庭の掃き溜めを清潔になし、下水の流れを通し、すべて新鮮空気の流 通するように心がけ、我が精神を養って体の疲労しないようになし、また憂い悲しみ、あるいは怒る事を しないように気をつけ、心を活発爽快に今日を送るようにすれば、決してコレラに取りつかれる心配は ございませんぞ。 〇それ、金魚や鮒は水の中に生活しており、人間は空気の中に生活しているもの故、常によき 空気の中にいるようにすれば病気も発せず、また悪い空気の中にいれば病を受けるのは自然の 理でございます。まあ試しに汚い水の中へ金魚でも鮒でも入れて置いてご覧なされ。段々に

英語訳

[Right page] 〇Also, tempura foods should not be eaten, even if they are vegetables. Green vegetables, taro, pumpkin, burdock, lettuce, etc. are bad. Also, all vegetables that have wilted in the sun or are half-cooked are said to be bad. 〇Potatoes, sweet potatoes, Chinese yam, carrots, daikon radish, etc. are fine if well-cooked, but even these are bad if half-cooked. 〇For fruits, well-ripened peaches, plums, pears, apples, grapes, strawberries, etc. may be eaten little by little, but unripe green ones must never be eaten. Also, refrain from mushrooms. 〇In hot weather, we all tend to drink much hot water, but those who regularly suffer from diarrhea should refrain as much as possible. Also, it is good to drink boiled water cooled down. Since boiled water has lost its vapor, it is not sweet, so it is good to add a little grape wine, tea, or shochu before drinking. 〇Old cow's milk, or anything with a slightly sour smell, and any oily foods whatsoever must not be eaten even in small amounts. Also, rice cakes, dumplings, and other hard-to-digest foods must definitely be avoided. [Left page] 〇If we say this is bad and that is bad like this, it may seem there is nothing to eat, but that is not the case. One should eat easily digestible foods in moderation [empty stomach is not good], exercise the body moderately [overexertion is not good], rise early in the morning and take walks [night walking because of heat is not good], keep one's dwelling and toilet clean [when excrement and urine are allowed to accumulate, they eventually become a medium for cholera transmission], sweep the garden clean, ensure proper drainage flow, take care that fresh air circulates everywhere, nurture one's spirit so the body does not become fatigued, be careful not to worry, grieve, or become angry, and spend each day with an active and refreshing spirit - then there will definitely be no worry of being afflicted with cholera. 〇Now, goldfish and crucian carp live in water, while humans live in air, so if one stays constantly in good air, disease will not develop, and if one stays in bad air, receiving disease is natural law. Try putting goldfish or crucian carp in dirty water and watch - gradually they will...