翻刻
いくら
おどして□【も?】
人がもち
ひぬ【用ひぬ?】ゆへみつ
どうはふつと
おもひつき
はりぬき
のざとう
の大あたま
をかふり
おどして
みんと
人みな□
【腕の左へ】
□山おくへ
ゆき
人どをりを
まちしに
かりうど
とも
おも
はれ
し
【左ページ上へ】
ものひとり
とをりかゝりしゆへ
うしろよりぬつと
かほをいだせしに
おもひのほか
ごうせいものにて
とつておさへ
あたまの
はりぬきを
ひつたくり
ひどいめに
あふ
【右ページ中段へ】
おのれにくいやつ
おれをたれ
たとおもふ
かん平が【勘平が】
はらきりの
ばへも【場へも】
でた
たぬきの
かく兵へと【各兵衛と】
いふなを
しれた
おとこだ
そんな事で
おぢるものか【怖じるものか】
ばけ物の
にた□
ぼ□
ど
め
【左ページ中段へ】
まつぴら
ごめんなされ
ませお人を
みそこ
ないまし
たきつと
いごを
つゝしみ
ませう【きっと以後をつつしみませう】
【下へ】
ころし
くじつ
ても
つまらぬ
ものだ
現代語訳
いくら脅しても人が用いない(騙されない)ので、密道はふと思いつき、張り抜きの座頭の大きな頭をかぶって脅してみようと思った。人里を離れ山奥へ行き、人通りを待っていると、狩人と思われる者が一人通りかかったので、後ろからぬっと顔を出したところ、思いのほか豪勢な者で、つかまえて押さえつけられ、頭の張り抜きをひったくられ、ひどい目に遭った。
【狩人の台詞】
「おのれ憎い奴め、俺を誰だと思っている。勘平の腹切りの場へも出た狸の角兵衛という名で知られた男だ。そんなことで怯むものか。化け物の似非どもめ。」
【密道の台詞】
「まったく御免なさいませ。お人を見損ないました。きっと今後は慎みましょう。」
【狩人の台詞】
「殺してくれても詰まらぬ者だ。」
英語訳
No matter how much he tried to frighten people, they wouldn't be fooled, so Mitsudō suddenly had an idea and decided to put on a large papier-mâché head of a blind monk (zatō) to try scaring them. He left the village and went deep into the mountains, waiting for passersby. When someone who appeared to be a hunter came along, he suddenly stuck out his face from behind, but unexpectedly the man was quite formidable and grabbed him, pinned him down, snatched away his papier-mâché head, and gave him a terrible beating.
【Hunter's dialogue】
"You detestable wretch! Who do you think I am? I'm the famous tanuki Kakubei who even appeared in Kanpei's seppuku scene. I won't be intimidated by such tricks. You fake monsters!"
【Mitsudō's dialogue】
"I'm terribly sorry! I misjudged you. I will certainly be more careful from now on."
【Hunter's dialogue】
"Even if I killed you, you'd be worthless."