翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

[化物一代記] : 5巻 - 翻刻

[化物一代記] : 5巻 - ページ 25

ページ: 25

翻刻

みつ どふは かく兵へ にはん し はん しやうの めに あい よふ〳〵 命 ばかり をた すかり おしつけ よも あけんと みちばた のいし ぢぞうにより かゝり□□□〳〵□【うつら〳〵と?】 せしにゆめに□□【とも?】なく まほろ し も なく【幻ともなく?】 さきたつて □このときわかれし【あかこのときわかれし?】 はゝくろくろくびにたいめん する これ〳〵みつどうわれは そのほうがはゝろくろ くび□まれ□なり なつかしや〳〵なんじ けなげにも□の□と おつきはけものに ならんとのこゝろ さしのやさしき 【上へ】 ゆへまみゆる【松を挟んで下へ、以下同】なりとても【さても?】 人げんのかたち にて ばけんことおも ひ もよら ずみこしのいへをつがんと おもはゞこれより二三りひがし に大入道大ごんげんといふ やしろあり此御かみを いのりなはついには ばけものゝかず にも入べし そう〳〵たちこへ きぐわんをなすべしと いふかとおもへば くもきりの はれたる ごとくかたちは きへて うせに けり

現代語訳

密道は角兵衛に半死半生の目に遭い、ようやく命ばかりを助かって、夜も更けようとする頃、道端の石地蔵にもたれかかってうとうとしていると、夢とも幻ともなく、先立って別れた母のろくろ首に対面した。 「これこれ密道よ、私はそなたの母ろくろ首のお前なり。懐かしや。なんじ健気にも父の跡を継いで化け物になろうとの心、いじらしいゆえ現れたのじゃ。とはいえ人間の姿で化けることなど思いもよらず。美濃の国の家を継がんと思うなら、これより二、三里東に大入道大権現という社がある。この御神を祈りなば、ついには化け物の数にも入るであろう。早々に立ち越え、祈願をなすべし。」 こう言うかと思えば、雲霧の晴れたように姿は消えて失せてしまった。

英語訳

Mitsudō suffered a near-death experience at the hands of Kakubei and barely escaped with his life. As night was about to deepen, he leaned against a stone Jizō statue by the roadside and dozed off. In what seemed neither dream nor illusion, he encountered his deceased mother, the rokurokubi (long-necked monster). "Now, now, Mitsudō, I am your mother, the rokurokubi known as Omae. How dear you are to me! You are so admirable in your determination to follow in your father's footsteps and become a monster - it moves my heart, so I have appeared before you. However, you cannot expect to transform while in human form. If you wish to inherit the family tradition in Mino Province, there is a shrine called Dainyugdō Daigongen about two or three ri to the east of here. If you pray to this deity, you will eventually be counted among the monsters. You must go there immediately and make your prayers." Having said this, her form vanished like clearing clouds and mist.