翻刻
仮宅ハ深川黒江町え出候是ハ長兵衛弟質渡世致居
故右見世番頭え預ケ此方え参候よし
一江戸町二丁目三浦屋吉右衛門右地震之節穴藏え入候か宜敷迚
夫婦を始め遊女五十人も有之候内ニ而頭立候分斗半分程穴藏え入
候処ニ家潰レ落其上焼失致し不残穴藏ニ而蒸焼ニ相成候由
家蔵を穴へ落せし報ひ成て 仮宅深川仲町
今穴で憂目みうら屋
一京町一丁目杵屋清吉遊女五十人斗有之候処タ大地震ニ亭主
金四百両程財布二入首二懸逃出し候処ニ道二振落し三百両
斗財布二残り居候所大門外土手之割目え落込もがき候得とも
出る事不叶候処へ郭内の若者通り懸候ニ付是を呼留何卒
引出し助ケ呉候ハゝ財布ニ有之候金を半金可遣由申候ニ付
若者立止り清吉を引出し助け候ニ付右約束の通り財布を
取出し半金遣し可申と致候処ニ右若者財布を大集取
逃去ルよし然ル処同十八日大嵐の夜召捕ニ相成入牢致候由
うそつかす呉れる積りを皆取て
持てまねしでなんと清吉
仮宅浅草山之宿東側え出る
一角町河岸小見世ニ而加島屋平兵衛右大変之砌女房山谷之
寺え逃行候処二懐妊致し候が右騒ぎニテ急二虫かはり候間
湯棺場え欠込安産致女子出生致し候吉原ニて大勢変死
有之中ニて家内壱人も怪我無之其上娘壱人ふへ候間目出度
迚墓場にて生の娘故おはかと名付候處親類之者夫ニ而ハ
悪敷由申候二付然らハ火事の中にて生れ候間おかじと名付