翻刻
大名衆の目にも留らば幸ひならんと居へ置しも鉄を吸(す)はねば只の石也
定めて多くの年を経(へ)たれば自然(しぜん)其気(そのき)の薄(うす)らぎたる歟大きなる損毛(そんもう)
ぞと心よからず更る夜の四ツ時の大地震なり其後彼石に鉄を吸(すは)すに
元のごとくに付によつて大地震有其前には磁石鉄を吸はざるを発明(はつめい)
せしとの咄しのよし是に付て或人の地震 時計(どけい)といふものを造(つく)らん
とて図(づ)を顕(あら)はすをこゝに写(うつ)して妙工(めうこう)を待(まつ)
此車めざましを打しかけ
りん
地震計 磁石 此釘鉄じしやくの気に応じ大小とも作る
全図 此柱糸の長さだけ 直久写
此重り釘と磁石の気放るゝ時
しかけはづれて下る故糸車廻り
めざまし車へ移り廻る故に
此車糸まきなり めざましのしかけりんを
うつなり
りんの中目ざまし打道具上の如く
しかけ
車 此針じしやくに吸付
分離
正面より 此しんぼう 此三味糸しかるべしすへりを
見る図 糸車へ 第一となす
つゞく 此くぎ竹木のうち
すへりよきを旨とす
此糸なるたけ細く鼠落しの
糸車 しかけと心得べしもし重り
糸巻 つよく磁石の吸気よはければ
たる所 二ツまきてもよし
是等はよく諺(ことはざ)にいふ畑水練巨燵兵法(はたけすいれんこたつひやうほう)とやらいふ者に似(に)たれども若(もし)
工夫(くふう)を創(こら)しなば成就(じやうじゆ)せざる事 やあらん将(はた)後の世の益(えき)にもなれと画師
直久の手を借りて其趣を写すになん