翻刻
小津とも
三郎は
つまの
おまん
かかたき
をたつ
ねいた
し【訪ね出し】
ほんもう
とけんと
こゝかしこを
たつねある
き此所
きたり郷介か
ていをみて
ふしきに
おもふ
【左下へ】
めつたにそはへよるな〳〵めをさま
したら
おつかな□【い】
ぞ
よこ川郷介
はけもの□【に】
なやまされ
ていりきつかれ【意力疲れ?】
きをうし
なふ
【左ページ】
よあけけれは
百しやうたひ人
此ていをみて
とつ〳〵ひやう
はんする【評判する】
これはとふた
なまゑいか【生酔いか】
たゝしきちかいか【但し(それとも)気違いか】
なんてもおつ
かないかほの さむらいた
現代語訳
小津友三郎は妻のおまんの仇を訪ね出し、本望を遂げようとここかしこを尋ね歩き、この所に来て郷介の様子を見て不思議に思う。
【左下へ】
「滅多に側へ寄るなよ。目を覚ましたら恐ろしいぞ」
横川郷介は化け物に悩まされて意力疲れ、気を失う。
【左ページ】
夜が明ければ、百姓たちがこの様子を見てとやかく評判する。
「これはどうした、生酔いか。それとも気違いか。」
「なんとも恐ろしい顔の侍だ。」
英語訳
Ozu Tomosaburō searched everywhere to find the enemy who killed his wife Oman, seeking to fulfill his heartfelt desire. Coming to this place, he saw Gōsuke's condition and found it strange.
【Lower left】
"Don't come near carelessly. If he wakes up, it will be frightening!"
Yokogawa Gōsuke, tormented by monsters, exhausted his mental strength and lost consciousness.
【Left page】
When dawn broke, the farmers saw this scene and gossiped about it.
"What happened here? Is he drunk? Or perhaps mad?"
"What a frightening face that samurai has."