翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

化物一家髭女 2巻 - 翻刻

化物一家髭女 2巻 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

よこ川こうすけこせとふうふになり てならいさみせんとのしなん してふうふ月日をおくりしか ごぜたゝならぬ身となり はや七月にそなりにける ごうすけうわきこゝろ □つれそいしかしだいにみ おもくなるをうる さくおりひける 【右下、ごぜの台詞】 おなかで いつそいご くわい■【お腹でいっそ動くわいの】 こちの人【うちの人?】 □… 【帯の下へ】 くた さん せ 【郷介の台詞】 ひよん なことしや めの みへぬおぬ しに おきやあ【おぎゃあおぎゃあ=赤ん坊】       〳〵か てきたら いくじは あるまい 【左ページへ】 よこ川郷介は  ぶどうなる         ものなれば ごせか ことうるさく なりて よはん【夜半】人 しれず ころ し て 【その上へ】 しまはん と おもい あるよ きりころしてのはら にすて 立 のく 【中ほど、横川の台詞】 さあこれ できが かりは さつはり と し  た やれ  〳〵 ごぜに    は こり〳〵と    した 【下へ】 ごぜくるし さ のあまり おつと郷介 かかたさき をくいきり さいご

現代語訳

横川郷介は瞽女と夫婦になって、手習いや三味線の指南をして夫婦で月日を送っていたが、瞽女がただならぬ身となり、はや七月(七か月)の身重になってしまった。 郷介は浮気心が起こり、連れ添った妻が次第に身重になるのを煩わしく思うようになった。 【瞽女の台詞】 「お腹でいっそう(子が)動くわいの。うちの人よ...」 【郷介の台詞】 「ひょんなことじゃ。目の見えぬお前に、おぎゃあおぎゃあ(という赤ん坊)ができたら、育児はできまい。」 横川郷介は無道な者であるから、瞽女のことが煩わしくなって、夜半人知れず殺してしまおうと思い、ある夜切り殺して野原に捨てて立ち退いた。 【横川の台詞】 「さあこれで厄介払いはすっきりとした。やれやれ。」 瞽女にはこりこりとした(執着があった)。 瞽女は苦しさのあまり、夫の郷介の肩先を食いちぎって最期を遂げた。

英語訳

Yokogawa Kyōsuke became husband and wife with the goze, and they spent their days together with him teaching calligraphy and shamisen instruction. However, the goze became pregnant and was already seven months along. Kyōsuke developed a wandering heart and began to find it troublesome that his wife was growing heavier with child. 【Goze's dialogue】 "The baby is moving so much in my belly. My dear husband..." 【Kyōsuke's dialogue】 "What an unexpected thing. If a baby crying 'wah wah' is born to you, a blind woman, you won't be able to raise it." Since Yokogawa Kyōsuke was an immoral man, he found the goze troublesome, and thinking to kill her secretly in the middle of the night, one night he cut her down, abandoned her in a field, and fled. 【Yokogawa's dialogue】 "Now this troublesome burden is completely cleared away. What a relief." The goze had been deeply attached (to him). In her agony, the goze bit through her husband Kyōsuke's shoulder and died.