翻刻
猶飼方の/秘事(ひじ)は前編尓/委(くわ)しく/記(志る)し置く/洩(もれ)たる
を此編尓/揚(あ)げ記須
/蚕飼(こが)ひ/中(ちう)。桑の入目幷糸目/分量(ぶんりやう)の事
附/手(て)を/洗(あら)ひ/清浄(しよふ〴〵)尓すべき/雑話(ざうわ)
上/畠(はた)尓桑ばかり仕立。/盛(さか)り尓は桑葉壱反歩尓て十五六駄迄は
あるものなり但一駄とは/小荷駄馬(こ尓だむま)尓六/束(ば)附け也
一束の斤目凡五六貫目一駄の/賣買(うりかひ)平年の/價(あたひ)
金壱分より弐分位尓迄桑ふ足年は三分より
一両も/し(為)。又世間/一統(いつとふ)蚕上作して桑の/芽立(めだち)あしき
年は蚕上り前尓/飼(か)ひ/詰(つめ)是非なく/我勝(われがち)尓/糴(せ)り/合(あう)
時は一駄の/價(だい)弐両も《割書:昨今辰巳年所により五六両も志たる也|三両もする事まゝ有へし此時》
/薄情(はくじやう)のものは/我(わ)が蚕は川尓流し桑を売りて大利
を得るもまゝ有る/事(こと)なれと/必(かなら)ずする/事(こと)尓あらず
〇桑一駄尓て繭一斗は出来る物なり繭の/儘(まゝ)売りても
当時/流行(りうかう)の品尓て当時/直段(ねだん)金一両餘尓は現金
なるへし一斗の内より上糸はかり七十目より九十目
迄は斤目出るもの外尓中下の糸も出るなれは
糸取/賃(ちん)の/助(たすけ)となり當節上糸直段金一両尓五
十目内外ゟ七十目位迄するなれは糸尓して賣れは女の
/手業(てわざ)尓て一斗の繭を二日三日尓は取るなれは
此本を著たるは文久三癸亥年此時壱分
之品は壱両也文久通 宝元四文に始りて
五十七文に成る諸品共右之?・・・