翻刻
咨(あゝ)道を羊腸(やうちやう)にとり身虎穴に浴せ
ずんば槁のごとく心なんぞ虚ならん往(その)
昔(かみ)大己貴尊と少彦名命と力を
戮(あわ)せ心を一にして天下を経営ま
し〳〵蒼生畜産のために療病の
方を定め禁厭(きんゑん)の法をおしへ給ふ
のみならず尊のいたづきによりて伊
予の国に炎液(ゑんゑき)を下し給へり此山も
彼尊の卜地(ぼくち)なれは巉間(ざんがん)に示為(じい)し
給へるなるべしいつの頃か樵夫(きこり)夢想
を蒙(かふむ)りて尋求せしより于今続?す
とかや嗚(あゝ)神の示現(じげん)にあらず祇(ぎ)の
夢告(むかう)にあらずんばかくのごとく境
何に霊ならん泉のそゝぐところ
五方五水に象(かたど)りて坪数都て拾一
中におの〳〵司どる処ありて功触
線のごとく某の病に応じて某
の病には応ぜさる有若此自然
の変化にくらく敵不敵わき
まへざれば燕王将帥をかへて期
たに七十余城を失ひ呉王属 鏤(る)
を賜ふて終に呉国を亡すに異な
らず大《割書:ナル》哉心虚にして五行を
具ふるがゆへに病をのづから安く
境霊にして五味を含むがゆへ
に泉すみやかに敵す《割書:予》今湯
守何某か需(もと)めにより温泉
の来由と心境虚霊の弁を
かいつけて緒(いと)ぐちを解こと
しかり