翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

御代の御寶 - 翻刻

御代の御寶 - ページ 14

ページ: 14

翻刻

いかなるものも ねがいのぞみの なきものはなし 〽まづ いちばんに つめかけし あきんど ものまへには まへびに かけをはらつて しまふやうに ましなつて やり 〽おやぢさま おまへのは ちつとむづ かしいあとへ おのこり なされ 〽さて おあねいさま ちりめんの つまあがり はちしやうの むくなんでも かでも はやり【?】のいろ ちゝんふい〳〵 ごよのおん たから ふい〳〵〳〵 道中でも 江戸のうち でも まじ ない を いたせは くたひれる 事などは ござらぬ 【左頁、27行目の続き】 しばいは しんきやう けんのたび さじきで 見るやふ それ よ し 〽どりや あにき おいでなされ 大つうになる 事はなんの ざうさもなし おふきなきせる さらさのかみ入も ついてにましなつて やります〽はなのたかいあねさまおまへ ゑんぐみたのすいぶんよし〳〵〽ときに おやじさまおまへは二百までいきたいと おつしやるがこいつはわたしが てぎわにもいかぬ五百まで いきてもへんてつもなし 一日でもおもしろい ところをおかんかへ なされ

現代語訳

どのようなものでも 願い望みの ないものはない。 まず 一番に 詰めかけた 商人、 物の前には 前日に 掛けを払って しまうように なさって やり 「親父様、 お前のは ちょっと難しい、後へ お残り なされ」 「さて お姉さま、 縮緫の 褄上がり、 八丈の 無垢、なんでも かでも 流行の色」 ちちんぷいぷい 御代の御 宝 ぷいぷいぷい 道中でも 江戸の内 でも 呪文 を いたせば 疲れる ことなどは ございません 芝居は 新橋・京都の旅、 桟敷で 見るよう それ 良し 「どれ、兄貴、 おいでなされ。 大通になる ことは何の 造作もなし。 大きな煙管、 更紗の紙入れも ついでになさって やります」 「鼻の高いお姉様、お前 縁組みの話、すいぶん良し良し」 「時に 親父様、お前は二百まで生きたいと おっしゃるが、こいつは私の 手際にも行かぬ。五百まで 生きても変哲もなし。 一日でも面白い ところをお考え なされ」