翻刻
連て庭へ逃たるが南の方ゟ奥住居倒東方ゟ土蔵倒右母子とも
其所に打敷れたり当主其由を聞土瓦取除見れは母子とも
手を互に抱合即死也翌三日夜ゟ庭中火二ツもへ深夜ニ及び
ては亡霊形を顕し或は悲泣の声不絶など風聞あり
○御目付千二百石本所一ツ目鈴木四郎左衛門殿二日夜調物有とて
一室ニ有しが右地震にて玄関ゟ客の間潰れたる故悴四郎次ヲ
以て用人を呼しむるに帰り来ざるゆへ自身も出見る処土蔵の壁
崩用人即死四郎次は途中客の間梁の下に即死外に用人
伊奈源兵衛幷家士男女五人死屋敷残りなく焼失也
○大番組頭小石川諏訪町高五百石柳瀬正左衛門殿二日夜寝所二而
夫婦とも即死家来清水平五郎主人の安否を伺んとて
部屋ゟ駈来るに中の間にて足を打敷五六間計延て即死
外四人男女即死せしとなり
○本所五ツ目榊原式部大輔殿下屋敷にては施行有之由を
承りたり迚五十余人程徒党いたし参りけるゆへ大沢某外六人
立出左様之儀無之由打断といへ共不聞入終に彼七人を打
倒し米蔵へ行米六十俵を奪ひ取行衛不知逃失けるとなり
依之以後門内に鉄炮を飾り厳重ニ成し後右乱妨者も
来らすなりしとなり
○御留守居本所一ツ目高五千石関播磨守殿は二日夜家士