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コレクション: STAGE9

安政二年震災記事 完 - 翻刻

安政二年震災記事 完 - ページ 61

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 弓の稽古を見居たる所地震二而北方土蔵揺崩て即死  家士二人即死然る所近辺火災ゆへ用人某漸主人の骸を掘  出し立退けるが幸にして火災は脱れたる十一人怪我人有ける ○大御番頭本所三ツ目逸見甲斐守殿今辰年御番ニ付誂  物有之具足師明珍某其外示談相済各帰宅後其身  休息せんとする時地震ゆへ庭中へ走出る途中東方の土蔵  倒崩即死奥住居西の方長屋一棟潰れ七人即死怪我人有 ○本所菊川町高二千五百石野一色外記殿八尾女といへる  は今年十八才当世の佳人にして又能書なるが此夜一室の  内にて梁に敷れ即死せしとなり ○西丸下御馬屋御頭諏訪部氏は当夜地震之節一と先庭へ  立出しが風与心付何やら大切なる物取落したる様子にて  住居を見返るにいまだ潰れざるゆへ立戻り居間へ這入と其儘  家倒れて即死の由其外組下にも両三人即死有となん ○丸の内或侯の藩中二日の夜泊番を同役に頼みけるが右大地  震殊ニ出火にて頼まれたる同役は焼死頼み候人の命は無  恙然るに彼番を頼まれて死したる人の妻女悲歎の余り  彼助命たる同役の宅へ来り繰返し〳〵怨みを申泣けるゆへ  頼みたる人も持て余ス風与気分替り扨々是非も無次第也  其申訳を致さんといふより早く脇差を抜切腹なして果ける