みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

安政二年震災記事 完 - 翻刻

安政二年震災記事 完 - ページ 62

ページ: 62

翻刻

 となり其時に彼怨みを言たる妻女も本心に立帰り是は  申訳もなく次第夫迄には及ばざりしと気の毒さにとり  昇せて又其刃物に取付て自身咽を貫ぬきしとなり  一人のみか三人を其事に付て落命するも前世の因縁  ならんと皆人舌を巻けるとなり  地震奇談録   こたひの地震の及信事はし〳〵迄はいまた聞も定めす大江戸の   内たに余所はいかならむいさしらすたゞまのあたりいみしう   恐ろしともあさましとも覚へたる葛飾のかたほとり石はら   の里わたりの有さまを聊かかいしるす俳諧の長歌幷反歌五首 やすらけく まつりこつてふ 名にし負ふ 年の二とせ 神無月 二日の宵の 長閑にて 人静まれと 灯火を 猶も挑けて 文机に 《割書:よりそふ|なへに》 ゆくりなく  物なりいてゝ なゐふるを 《割書:そよやと|いひも》 やらぬ間に 《割書:鳴かみの|こと》 轟きて 壁もつい地も 塗こめも 土に瓦に 木葉なす 《割書:山おろし|して》 家ことに  つかも柱も 砕くれば うつ梁落て あとさけふ 数の人の ひと声に あはれをこめて はかなくも 親に妻子に よひまよふ 三声のましら 夜の鶴  腸たゆる おもひかな 夜はうは玉の 闇のうちに 遠近となく 煙たぢ 焰もえきて おもかじゝ  広こり行ば 昼のこと 風の火花は