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コレクション: 漂流記コレクション

日本漂流譚 - 翻刻

日本漂流譚 - ページ 144

ページ: 144

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【右丁上段】」 て炊事(すいじ)しこゝに 数日(すじつ)をくらしけ るに此時(このとき)の掛(か)り 役人(やくにん)は定海県(ヂヤウカイけん )の 書記(しよき)陣氏(チンし)陸氏(リクし)両(りやう) 人(にん)にて米(こめ)魚(うを)野菜(やさい) 塩(しほ)薪(たきゞ)まで毎日(まいにち)同(どう) 人(にん)より届(とゞ)けられ、 其(そ)の入費(にふひ)は一切(いツさい) 定海 県(けん)の公費(こうひ)に て後日(ごじつ)に至(いた)り、打(だ) 算(さん)して償却(しようきやく)すべ 【中央に絵】 【右丁下段】 きことヽ定(さだ)めら れたり。同十月 晦日(みそか)に段大爺(ダンたいや)の 贈(おく)る所(ところ)なりとて、 菓子(くわし)食物(しよくもつ)等(とう)数多(あまた) 持(も)ち來(きた)るあり。 其(その)後(ご)も清国(シンこく)仕立(したて) の木綿(もめん)着物(きもの)袴(はかま)帽(ぼう) 子(し)など一組(ひとくみ)づヽ 一 同(どう)へ贈(おく)られた り。十一月廿七 日 段大爺(ダンたいや)同(どう)道に 【左丁上段】 て劉則木(リウソクボク)といふ 者(もの)来(きた)れり。此者(このもの)は 平湖県(ヘイコけん)蘇州(ソしう)の 范氏(ハンし)十二 家(か)の荷(に) 主(ぬし)の紹介(せうかい)にて来(きた) れるをにて嘗(かツ)て 我国へ渡来(とらい)して 言語(げんぎよ)も通(つう)するも のなれは通事(つうじ)の ために定海 県(けん)よ り平湖 県(けん)に照会(せうくわい) して呼(よ)びよせた 【左丁下段】 るなりとぞ。さ て劉則木(リウソクボク)のいへ るやうお身達(みたち)の 船(ふね)にては再(ふたゝ)び日 本へ帰(かへ)らんこと覚(おぼ) 束(つか)なし、いづれ中(ちう) 国(ごく)船(せん) 渡航(とかう)の節(せつ)に 同乗(どうじやう)すことよか るべしといふ。 いかにもして修(しゆ) 繕(ぜん)を加(くは)へ我(わ)が船(ふね) にて帰国(きこく)を望(のぞ)む ()げんぎ

現代語訳

【右丁上段】 て炊事をし、ここに数日を過ごしていたが、この時の担当役人は定海県の書記である陳氏と陸氏の両名であり、米、魚、野菜、塩、薪まで毎日同人より届けられ、その費用は一切定海県の公費にて、後日に至り、計算して償却すべきこととと決められていた。 【右丁下段】 同年十月晦日に段大爺の贈り物だとして、菓子や食物等を数多く持参してくる者があった。その後も清国仕立ての木綿の着物、袴、帽子など一組ずつ一同へ贈られた。十一月二十七日、段大爺と同道にて 【左丁上段】 劉則木という者が来た。この者は平湖県蘇州の范氏十二家の荷主の紹介にて来たのであり、かつて我が国へ渡来して言語も通じる者であるので、通訳のために定海県より平湖県に照会して呼び寄せた 【左丁下段】 のであるという。さて劉則木の言うようには「お身達の船にては再び日本へ帰ることは覚束ない。いずれ中国船で渡航の節に同乗することがよかろう」という。何とかして修繕を加え、我が船にて帰国を望む

英語訳

【Right page, upper section】 They cooked their meals here and spent several days. At this time, the officials in charge were two clerks from Dinghai County named Chen and Lu. Rice, fish, vegetables, salt, and firewood were delivered daily by these same officials, and it was decided that all expenses would be paid from Dinghai County's public funds and later calculated for reimbursement. 【Right page, lower section】 On the last day of October of the same year, someone came bringing many confections and food items, saying they were gifts from Master Duan. Afterwards, Chinese-made cotton clothing, hakama trousers, and hats were also presented as gifts, one set each to everyone. On November 27th, Master Duan came accompanied by 【Left page, upper section】 a man named Liu Zemu. This person had come with an introduction from the cargo master of the Fan family's twelve houses in Pinghu County, Suzhou. Since he had previously traveled to our country and could communicate in the language, he had been summoned from Pinghu County through official correspondence from Dinghai County to serve as an interpreter. 【Left page, lower section】 Liu Zemu said: "With your ship, returning to Japan again would be uncertain. It would be better for you to board a Chinese ship when one makes the voyage." However, they hoped to somehow make repairs and return home in their own ship.