翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

地災撮要. 巻11-12(地震之部) - 翻刻

地災撮要. 巻11-12(地震之部) - ページ 15

ページ: 15

翻刻

【右丁】 リ後ニハ黒キ砂大夕立ノ如ク降来テ終夜震動 シ戸障子ナドモ響キ裂暗キ事昼夜ヲ分タズ物 ノ相色モ見ヱ分ネハ悉家々ニ燈ヲトボシ往来 モ絶々ニ適通行ノ人ハ此砂ニ觸レテ目クルメ キ怪我セシモ有トカヤ諸人何ノ所以ヲ知サレ バ是ナン世ノ滅スルニヤト女童ハ啼サケブ翌 日ニ及ヒ冨士山焼ノヨシ注進有テコソ始テ人 心地ハツキニケル砂降積ルコト凡七八寸所ニヨ リ一尺餘モ積リシトゾ畢テ砂ヲ掃除ストイヘ トモ板屋杯ハ七八年ノ後マテ風ノ折ニハ砂ヲ 【左丁】 吹落シ難義ナリシヨシ右ノ刻駿州冨士郡ヨリ 注進ノ趣  咋廿二日昼八時ゟ今廿三日迄之間地震間も  無く卅度程ゆり民家夥敷潰れ申候扨廿三日  昼四ッ時ゟ冨士山夥敷鳴出冨士郡一面に響渡男  女絶入仕者多候へとも死人は無御座候然處山上ゟ煙夥  く巻出し山大地共に鳴渡冨士郡中一面に煙渦  巻候故いか様之訳共不知人々十方を失ひ罷在候  昼之内は煙斗相見へ候處夜に入候はゝ一遍に火㷔に  相成候其以後いか様に成候哉不奉存候先石焼出之

現代語訳

【右丁】 その後には黒い砂が大夕立のように降ってきて、終夜震動し、戸や障子なども響いて裂け、暗いことは昼夜の区別もつかず、物の色合いも見分けられないので、悉く家々に灯火を点し、往来も絶え絶えになった。たまたま通行する人はこの砂に触れて目がくらみ、怪我をした者もあったという。諸人は何の理由かも知らないので、「これは世の終わりではないか」と女子供は泣き叫んだ。翌日に及んで富士山が噴火したとの注進があって、初めて人心も落ち着いた。砂の降り積もったことは凡そ七、八寸、所によっては一尺余りも積もったという。ついに砂を掃除するといっても、板屋根などは七、八年の後まで風の折には砂を 【左丁】 吹き落として難儀であったという。右の刻、駿州富士郡より注進の趣旨は次の通りである。 「昨二十二日昼八時より今二十三日までの間、地震が絶え間もなく三十度ほど揺れ、民家が夥しく潰れました。さて二十三日昼四つ時より富士山が夥しく鳴り出し、富士郡一面に響き渡り、男女で気絶した者が多くおりますが、死人はございません。然るところ山上より煙が夥しく巻き出し、山も大地も共に鳴り渡り、富士郡中一面に煙が渦巻いているため、どのような訳かも分からず、人々は途方に暮れております。昼の内は煙だけが見えておりましたが、夜に入れば一面に火炎となりました。その以後どのようになったか存じ上げません。まず石が焼け出したことを