翻刻
なし此災異に係て命を損し疵をかうふる人数
多なり時の災難とはいへとも亦免かたしとも
言へからす常に地震多き国は倉庫家建も其心を
用ひ人も平日に心得たれは大震といへとも圧死す
くなし和漢の歴代に記せし地裂山崩土陷島出
涛起等は皆辺土也阿含経智度論なとさま〳〵に
説て大地皆動くやうに聞えり 左にはあらす初
めにいへる如く震は各処各気各動也予天経或
問に拠て一図をまうけて是を明す
地球之図
地球一周九万里是を唐土の一里六町として日本の
一里三十六町に算すれは一周一万五千里となるし
現代語訳
ない。この災異に関わって命を失い傷を負う人数は多い。時の災難とはいえども、また免れ難いとも言えない。常に地震の多い国は倉庫や家屋の建築もその心構えを用い、人も平日に心得ているので、大震といえども圧死する者は少ない。和漢の歴代に記された地裂・山崩・土陥・島出・津波発生等は皆辺境の土地である。『阿含経』『智度論』など様々に説いて大地がすべて動くように聞こえるが、そうではない。初めに言ったように、震は各処各気各動である。私は『天経或問』に拠って一図を設けて、これを明らかにする。
地球の図
地球一周九万里、これを唐土の一里六町として日本の一里三十六町に計算すれば、一周一万五千里となる。