翻刻
は、風力(ふうりよく)地勢(ちせい)等に由(より)て、其平面(へいめん)洋水(やうすい)より少(すこ)しく高
きこともありて、一般(いつぱん)の如(ごと)くならざるもあり
洋水(やうすい)の運動(うんどう)、
洋水(やうすい)に較著(かくちよ)なる三様(さんよう)の運動(うんどう)あり、即(すなは)ち波浪(はらう)、潮汐(てうせき)、
及(およ)び洋流(やうりう)是(これ)なり、風(かぜ)の洋面(やうめん)を吹(ふき)て波(なみ)を揚(あぐ)るや、細(さい)
々(〳〵)たる漪漣(いれん)より、山(やま)の如(ごと)くなる怒濤(どヽう)に至(いた)つて、其
高低(こうてい)甚(はなは)だ差(さ)あり、旋風(せんふう)によつて起(おこ)る波(なみ)は、其高度(たかさ)
十尺より、二十尺の間(あいだ)にありとす、最(もつと)も高(たか)き浪(なみ)と
いへども、その凸所(とつしよ)より凹所(あうしよ)まて、四十尺に過(すぐ)る
ものあらずといふ、
潮汐(てうせき)、
潮汐(てうせき)は定期(ていき)あつて、洋水(やうすい)の昇降(しやうごう)するを云ふ、即(すなは)ち
日月(じつげつ)の引力(いんりよく)によつて、此(この)象(しやう)を発(はつ)するものなり、○
凡(およ)そ洋水(やうすい)は六時(むとき)にて上(のぼ)り、大約(たいやく)三分(さんぶん)時間(じかん)駐(と〴〵)ま
つて後(のち)、また六時(むとき)間退流(たいりう)す、しかる後(のち)再(ふたゝ)び長(ちよう)ずる
事始(はじめ)の如(ごと)くす、○潮水(うしほ)の長(ちよう)ずるは月(つき)その天心(てんしん)を
過(すぐ)る地(ち)最(もつと)も高(たか)しとす、また月(つき)再(ふたゝ)び天心(てんしん)に来(きた)る間(あいだ)
必(かなら)ず二十|四(し)時(じ)五十|分(ぷん)三十|秒(びやう)ありて、こゝに両回(りやうくわい)
天然地理学 巻之二 十九