翻刻
|再(ふたゝ)に|河(かは)を|流出(りうしゆつ)す、〇|凡(およ)そ|大河(だいが)は|千山(せんざん)|相連(あいつらな)れる|地(ち)
より|出(い)づ、|泉水(せんすい)の|数千(すせん)|諸山(しよさん)より|出(いづ)ればなり、しか
れども|地(ち)によつては、|只(たゞ)|高起(こうき)せる|地(ち)を|以(もつ)て|源(みなもと)と
せる|大河(だいが)あり
|川流(せんりう)の|速度(そくど)
|水(みづ)は|他(た)の|流動物(りうどうぶつ)の如く、之を|放(はな)ては|卑(ひき)きに|就(つく)く
|偏性(へんせい)あり、|是(これ)を以て|河流(かりう)を|見(み)れば、その|地(ち)|斜下(しやか)の
|方向(はうこう)を|知(し)るに|足(た)る、|然(しか)るに|地(ち)|傾斜(けいしや)の|度(ど)は|川流(せんりう)の
|速度(そくど)を|示(しめ)すに|足(た)らず、|流水(りうすい)の|遅速(ちそく)は|水(みづ)の|多小(たしやう)と、
|河道(かどう)の|凸凹(とつあう)に|関(くわん)すればなり〇|凡(およ)そ|河道(かどう)二百尺
にてその|傾斜(けいしや)一尺なれば、|舟楫(しうしふ)|通(つう)じ|難(がた)しとす、ま
た|河水(かすい)の|速度(そくど)は、|曲流(きよくりう)するものより、|直流(ちよくりう)するも
の|常(つね)に|甚(はなは)だし、また|河道(かどう)|俄(には)かに|下(くだ)る|地(ち)は、その|流(ながれ)
|極(きは)めて|猛烈(もうれつ)なり、之を|急灘(きうだん)といす、また|河水(かすい)|壁立(へきりう)
せる|岩石(がんせき)を|跳下(てうか)する、之を|瀑布(ばくふ)といふ、また|細流(さいりう)
の|岩(いは)より|懸(かゝ)るもの、之を|小瀑布(しやうばくふ)と云ふ
|河(かは)の|伏流(ふくりう)
|河水(かすい)|流注(りうちゆう)の|間(あいだ)、|往々(わう〳〵)|地中(ちゝう)に|潜伏(せんふく)し、|多少(たしやう)の|里程(りてい)を
天然地理学 巻之二 八