翻刻
しるしにして二丁町吉原の焼亡度々なれども家作の造
立焼野に草の生ふるが如し
一火防の神を祈るは勿論なれども近火にても風筋替れはのが
るゝ故常に風神尊を祈るべし人丸の神もかきのもと
にて火とまると云理にこそあれ又|易(ゑき)か人相に火災のきざし
あらは早く祈念して何にても所持の品を焼すつへし
一廿八宿の内に亢(こう)宿といふ日あり此日に普請を始めれは十日の内に
凶事ありときくされは普請小屋より出火すること度々あり日々
八宿の吉凶を用ゆる人まゝ有八宿の事は追てあらはすべし
一類焼は是非なけれとも自火を要慎(ようじん)すべし是平日の心がけ第一也まづ
たばこの吹がらを途中にても踏(ふみ)けすべからず石瓦にて消すへし
一毎年正月十二月廿四日|厳(きび)しく禁酒すべし卯の上刻ゟ酉の上刻
まて酒(さか)塩にも遣はず客来有ても堅く断るべし自火を出さぬ
まじなひ也世人知りたる事なれともしるし置ぬ