翻刻
和名類聚抄ニ曰
本草ニ曰
芥 ハ音介和名
加良之
同書
辛菜(カラシ) 崔禹錫食経ニ曰
又有辛菜《割書:和名賀良之|俗用芥子を|》
増補多識編葷菜類ニ曰
芥《割書:和 今按ニ阿於|名 加羅志|》 大芥《割書:和 今按ニ於保|名 加羅志|》
花芥《割書:和 今按ニ波那|名 加羅志|》 白芥《割書:和 今按ニ志呂加|名 羅志|》
等ヲ載セタリ各別種ニ訓
ス
芥子ヲケシトヨムハ誤也ケシハ瞿栗也芥ハ種類尤多シ
白芥尤ヨシ實辛葉大也子ハ藥トス王世懋ク爪
疏ニ芥多種以春不老ヲ為大市ト云リ是大葉芥子
他ノ芥ヨリ薹遅シ是ヲ以テ名是大芥ナリ大芥ハ国
俗多加奈ト云乃和名抄ニ裁ス辛芥(タカナ)ハ為ス大
芥ト小ナル者謂フ之ヲ辛芥(カラシト)ト其種搗砕キテ
為粉甚辛イシ薫メ好ク通ル口鼻之気ナリ
乙酉夾鐘未有五日
真寫ス
現代語訳
『和名類聚抄』に曰く
『本草』に曰く
芥 音は介、和名は
カラシ
同書
辛菜(カラシ) 崔禹錫の『食経』に曰く
また辛菜有り(和名はカラシ、俗に芥子を用いる)
『増補多識編』葷菜類に曰く
芥(和名カラシ、今按ずるにアオ) 大芥(和名カラシ、今按ずるにオオ)
花芥(和名カラシ、今按ずるにハナ) 白芥(和名カラシ、今按ずるにシロカラシ)
等を載せたり。各々別種に訓ず。
芥子をケシと読むのは誤りである。ケシは瞿栗である。芥は種類が最も多い。
白芥が最もよい。実は辛く葉は大きい。子は薬とする。王世懋の『瓜疏』に
「芥は多種あり、春不老を以て大市と為す」と云った。これは大葉芥子で、
他の芥より薹が遅い。これを以て名づけ、これが大芥である。大芥は国
俗でタカナと云う。すなわち『和名抄』に載す。辛芥(タカナ)は大芥と為し、
小なる者をこれを辛芥(カラシ)と謂う。その種を搗き砕いて
粉と為す。甚だ辛く、薫りよく通る口鼻の気なり。
乙酉年夾鐘(二月)廿五日
真写す