翻刻
こ株(かぶ)。色男のきつすゐ。氣(き)どりハ大通なれども。おしき事は
疵に玉とやら。こんな男に生れて女/嫌(きら)ひ。そんなら堀江六間町【浄瑠璃のことか】
かと思へハ。銅壺(どうこ)の蓋(ふた)たて遊(あそ)ひも嫌ひ。どうした事じや合点(がてん)
が行かぬといふものばかり。ふしぎに此花の井を。過し浅草
詣(まふで)の折から見そめ。けふ漸(やう)〻と出来し初/約束(やくそく)女/藝者(げいしや)
末社(まつしや)とも引つれて。昼(ひる)からの大さわぎ。サア世の中にハ似(に)た
㕝も有れバ有る。此花の井もふしぎに男嫌ひ。つき出し
から三十日ばかり。勤(つとめ)ハ勤けれども只一通りにて。しミた事が
行けぬと。鑓人(やりて)が聞付て強異見(こわゐけん)。何ぼ男が嫌でもこの
一ノい