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【右丁】
入(い)れて。一反丁(ひとはねちやう)とはね給へは。彼(かの)二ツの狼(おほかみ)は。大力(だいりき)の弓杖(ゆんづゑ)支(さゝへ)られ。左右(さゆう)へ撲地(はた)と顛(まろ)
臥(び)しが。ふたゝび挑(いど)み戦(たゝかわ)んともせず。流(なか)るゝ鮮血(ちしほ)を舐(ねぶり)あひて。忽地(たちまち)睦(むつま)しう見え
たり。且(しばら)くしてこの狼(おほかみ)。為朝(ためとも)を熟(つら〳〵)うち瞻(まも)りて。もろともにほとり近(ちか)う来(き)つ。
頭(かしら)を低(たれ)恩(おん)を謝(しや)するがごとく見ゆ。さてはわが一言(いちごん)に感伏(かんふく)して。和睦(わぼく)しつるもの
ならん。人奸雄(ひとかんゆう)なればこれを虎狼(ころう)比(ひ)す。今この光景(ありさま)を見れば。彼等却(かれらかへり)て義(ぎ)あり